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【完結】幼な妻は年上夫を落としたい ~妹のように溺愛されても足りないの~  作者: 綾雅「可愛い継子」ほか、11月は2冊!
本編

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24.王都へ出発!

 私の中で、服を台無しにされた事件は解決した。命じた人がいて、その人は罰を受ける。実行した侍女も解雇された。これで終わり。


 長く恨んでも服は戻らないし、思い出はちゃんと胸の中に残っている。それに、ほとんどの服はまだ到着してないわ。悲しいからと引きずるのは、愚かな行為だ。お父様が以前に教えてくれたの。


 気持ちを切り替え、エル様が選んだ服に袖を通す。今日は朝からお城全体が騒がしかった。私も急いで準備して、食堂へ向かう。エル様も準備で忙しいのに、お待たせしたら申し訳ない。


 領主が城を空けるって、すごく重大な出来事よね。アルドワン王国には、お城は一つだけ。それでも、要塞や砦に似た貴族の屋敷はある。王都へ仕事で出てくるときは、きっと同じように貴族の屋敷も騒がしかったのね。


 訪ねてくる人ばかりで、自分から出掛ける時は民との交流が多かった。こんな風にお城が騒がしくなった記憶は、そうね。私の出発時くらいかな。もうすぐ姉カトリーナが嫁ぐから、きっとその時も騒がしいだろう。


 食べ過ぎないよう注意して、やや控えめに食事を終えた。きっと馬車が揺れるのよね。長旅になるし、座ってばかりだから少なめにしよう。そう思った私の前で、エル様は侍女長のリーズさんや執事に指示を出した。


 お昼は軽く摘めるもの、そのほかにお菓子を用意するように、と。遊びに行くのではないから、贅沢じゃないかしら。首を傾げる私を抱き上げ、エル様はさらに様々な部署へ指示する。


 警護の騎士団、後に残る使用人の管理について。馬車は四頭立てで、予備も含めた八台の大行列になる。アルドワンでは荷馬車だけど、モンターニュは貴族の衣服は専用の馬車があるんですって。感心しながら眺めた。


 お城までの道は綺麗に整備されていて、あまり揺れないと教えてもらった。クッションや毛布を抱えた侍女が馬車に入って行き、両手を空にして出てくる。さっきは毛皮の敷物まで持ち込まれたわ。


 ちょっと大袈裟じゃないかしら。でもエル様のお城で、エル様の馬車だから。私が口を挟むのは越権行為というやつよ。以前にお兄様が口にした難しい言葉が役立って、私は頬を緩めた。


「楽しそうだな、私にも教えてくれ」


 頬を突くエル様に、越権行為について話してみる。にこにこと笑顔で聞いて、賢いと誉めた。その間に、馬車の準備が整っていく。


「着替えて行くか?」


「問題なければ、このワンピースで移動したいです」


 今日はエプロンタイプではない、大人っぽいワンピースだ。深いワインレッドの生地は艶を消してあり、地模様が入っている。織り込まれた柄は蔦と小花だった。黒い大輪の薔薇を模したレースが、ところどころに配置される。背伸びしたデザインだった。


「品があり美しい。今日は王都に到着しないから、構わない」


 謁見は明日以降みたい。漏れ聞いた話では、早朝に馬で出立して休憩を極力省くと、ぎりぎり到着する距離ですって。馬車は遅いし、荷物もある。私がいるから、二日間での移動にしてくれたのね。


 エル様がいるから、他国の王都や陛下との謁見も怖くない。途中で山賊が出ても、やっつけてくれそうだし。騎士団も一緒だから安心だわ。


 先に馬車で待つことになり、私はクロエと乗り込んだ。エル様と一緒の馬車がいいとお願いしたら、侍女が同席なら大丈夫だと許可が出た。本当に楽しみ!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 遂に出立の時!!小人侍女も小人侍従と一緒に馬車の屋根上に乗ります。旅路が安心安全な事を祈ります(`・ω・´)ゞ [一言] 犯人気になる所ですが、そこは閑話に期待します(`・ω・´)ゞ
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