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魔導兇犬録:闇黒新世界  作者: HasumiChouji
第一章:In My End Is My Beginning
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(2)

「おい、横須賀、ちょっと講習がてら骨を休めに行け」

 レンジャー隊が1個中隊半ほど皆殺しにされたのに、俺と相棒の築山だけ、おめおめと生きて帰って来た例の事件の報告書を上司である斎藤課長に出すと、そう言われた。

 この人の能力は……先天的な「赤外線視力」。色覚異常(信号の色の区別がちゃんと付かないらしい)のせいで車を運転させるのは御法度だが、視界内の人間の体温の変化を検知出来るし、暗闇でも他の人間の居場所を視認する事が出来る。

 ショボい能力だと思うだろうが……子供の頃に、自分の能力に気付いてから、その能力の使い方を工夫し続けたらしい。

 早い話が課長の前では、余程、セルフ・コントロールに()けた奴じゃなければ、嘘や動揺を見抜かれるし、体調が悪いのに平気なフリをしてたり、仮病を使ったりしても、やっぱり簡単にバレる。

 しかも、現場でも相手が攻撃するタイミングなんかを、結構、正確に見抜く事が出来る。

 あくまで噂だが「他人の心や体調をある程度読める」事を利用して、他の警察機構(カイシャ)警察官(サツカン)になってた「精神操作能力者」を摘発した事も有ったそうだが……何とそいつが死刑判決が下された事件を複数手掛けた「落としの名人」と呼ばれた奴で……「無かった」事にしないと警察だけじゃなくて検察や裁判所まで延焼するような事態になったようだ。

「研修ですか? 何の?」

「訛を直して来い」

「へっ?」

 俺の名字、故郷の北関東では、そこそこ程度には多い名字で、たしかに訛も多少は有るが……。

「事情が有ってな。お前の名前は、これから小泉良一だ。出身は神奈川の横須賀」

「ちょ……ちょっと、どう云う事ですか?」

「だから『横須賀』と呼ばれて、うっかり返事しても、出身地が横須賀なんで『横須賀』って渾名だった、って言い訳が出来る」

「はぁ?」

「ところが問題が1つ。お前のしゃべり方には、若干だが、東北弁が混ってる」

「あの……これ、茨城弁ですけど……」

「へっ? 俺の昔の部下に東北出身のヤツが居たけど、似たしゃべり方だったぞ?」

「どこの出身の人ですか?」

「ええっと……ん〜、群馬だったか栃木だったか……」

「そこ、関東です」

「そうだっけか?」

「もういいです」

「で、横須賀出身を装ってるのに、東北弁だか茨城弁だかだと、怪しまれるんで、研修受けて直して来い」

「何の研修なんですか?」

「動画配信者向けのアナウンス講座だそうだ。馘になったどっかのTV局の新人アナウンサーの教育担当だか何だかがやってるらしい」

「あのですねえ……あと……」

「何だ?」

「いくら、俺達が『汚れ仕事部隊』だからって、まさか『投入』じゃないですよね?」

 投入とは……早い話が潜入操作の事だ。

「ビンゴだ。心強い仲間も居るぞ」

「どんな奴ですか?」

「チンピラから金巻き上げてた組対(マル暴)の阿呆に、女の部下を職場でレ○プした公安のクズに……」

「やめて下さい」

「素行に問題が有るが、結構、優秀な奴らだぞ」

「能力が優秀な悪党だったら、余計、マズいでしょ」

「あ……ちょっと待てよ……すまん、公安のクズに関しては、俺の言った事が不正確だった」

「へっ?」

「『女の部下を職場でレ○プした』は、ちょっと違うかも知れないな。英語に翻訳する場合は『女の部下』を複数形にしなきゃいけねえな。何でも狙ってた女の部下が、他の女性警官(メスデカ)と出来てたんで、2人とも『わからせ』ようとしたらしい」

「……冗談じゃねえっすよ……」

「安心しろ。確かにヤツは公安のクソどもの中でさえ最低レベルの人間のクズだが、もう、性犯罪はしでかせねえ。被害者をレ○プした後にチ○コを食い千切られたそうだ」

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