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ヤスラギ委員長は死ぬほど忙しい  作者: スウェイル
第一章︎ ︎ ︎委員長、死す
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朝倉桜蘭

 レンガ造りの倉庫の前で、制服をきっちりと着こなした黒いセミロングヘアーの少女が腕組みをして立っている。

 

 渉外輸送班リーダー、朝倉桜蘭(あさくらさくら)

 唯一、小中ともにヤスラギと同じ学校に通っていたクラスメイトだ。

 

 といっても、最後にクラスが一緒だったのは小学校高学年のときだけなので、高校で再び同じクラスになるまでの三年間はあまり顔を合わせて話せていないのだが。


「すーーーー……フゥ…………。

 ……そろそろ、かしら」


 じっと空を見つめ、なにやらそわそわと落ち着かない様子のサクラ。

 

 うぅ……向こうからしたら、2、3日ぶりくらいなんだろうけど、こっちは1ヶ月ぶりに再開するのよ。

 ……ドキドキするなって言う方が無理じゃない……!


 緩みそうになる表情筋をペシペシと叩き、いつもの顔に戻す。


 彼女が緊張するのも無理はない。


 なぜなら、4月の下旬にこちらへと召喚されたサクラは、その硬い表情の下でずっと悶々とした日々を過ごしていたのだから。

 

 ……ようやくヤスラギくんと同じクラスになれたのに、すぐにまた引き離されてしまうなんて……。


 しかも、世界を隔ててまで!!

 

 あまりにも不幸な運命を呪う日々だったが、ついに先日、吉報が届いた。


 『12HR最後の砦、秀才ヤスラギがついに召喚される! 決め手は心地よい初夏の気候と糖分の過剰摂取!!』


 ちょうど渉外の仕事のために拠点を離れていたサクラはそんなニュースを聞きつけ、最速で『ヒポカムポス』の拠点へと戻ってきたのだ。

 

 ”茜先生の授業中に寝ない限り、召喚されることはない”


 そんな召喚のルールを知ったときの絶望から一転、今のサクラは歓喜に湧いていた。

 

 6年目に突入した片想いは運命のイタズラに振り回され、ついには異世界にまで来てしまったが、ここまで来てしまえば、あとはもう突き進むのみ。

 

 ……! 来た!!


 山を越えて現れた高速で飛来する荷車。


 いつもの3人が抱える荷台に、待ち焦がれた人物がちょこんと座っているのを発見すると、サクラの呼吸はこれまでに経験したことがないほど乱れ始めた。


 ……っ!!? な、な、なにその可愛い座り方! 反則でしょ!! あざといにも程があるわよ!!

 たしかに荷物の上に人が乗るようなスペースがない以上、鉄棒に座るみたいに、持ち手の部分に座るしかないのは頷けるわ。

 

 だけど、手の位置!! もっと、こう、外側を握った方が安定するでしょ!!


 なんでわざわざ、股の間で手すりを掴んでるのよ!!

 そんなの……まるで、まるで、おすわりしてるワンコみたいじゃない……!!


 心の中で絶叫するサクラのすぐ目の前に、3人に吊り下げられた荷車がゆっくりと降り立つ。


 そして、バッチリと目が合ったヤスラギが、軽く手を振ってサクラに声をかけたのだった。

 

「サクラさん、久しぶり。元気だった?」


「ヤ、ヤスラギくん! ”元気だった?”じゃないわよ! なんてキケンな乗り方してるのよ!」


「えっ……えぇと、ゴメンなさい……?」


 そんなに危険な乗り方だったかなと、困惑するヤスラギだが、もちろんそんなわけがない。


 キケンだったのはサクラの心臓の方なのだが、そんなことヤスラギが知る由もない。


 ああぁぁもう!! また注意から会話を始める!!

 なんであなたはいつもそうなの、桜蘭!!


 一切表情を崩すことなく悶えるサクラは、そのまま己を叱責する。


 もしここに心の声を聴く事が出来る人物が居たならば、聞き違いではないかと疑ってしまったことだろう。

 それほどまでに、今のサクラは内面と外面の差が激しかった。

 

「まぁまぁ。そんなに怒りなさんな。

 そもそも、ここは人が乗るような所じゃないんだから。大目に見てやんなよ、サクラ」


 慣れた手つきでキツく縛られた荷物の紐をほどきながら、ルカがサクラを嗜めると、フーガもそれに続く。

 

「そうそう。俺らの運搬があまりにも完璧だったから、ラギ長もあんな風にリラックスして乗ってたんだろうぜ、な?」


「ぇぇと、たしかに、そうかもしれない……かな?」


「……ふぅーん? ま、無事だったのだし、良しとしましょう」

 

 話を合わせているのは見え見えだったが、ヤスラギに免じてサクラはそれ以上追求しないことにした。

名前:朝倉桜蘭

年齢:15(11月4日)

性別:女

容姿:163cm、凛々しい乙女

髪と肌:黒のセミロング、透き通る白

一人称:私

イメージカラー:黒、桜色、抹茶色

動物に例えると:飼い猫のロシアンブルー

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(活動報告にあります)

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