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ヤスラギ委員長は死ぬほど忙しい  作者: スウェイル
第一章︎ ︎ ︎委員長、死す
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鈴木康良義3

 小屋の外に出ると、周辺の警戒にあたっていた二人が戻って来ていた。


 戦闘探索班のリーダーであり、機動力と索敵能力に優れた狩野達人(かのうたつひと)(凄いピッタリな名前だが本名)とサッカー部でありながら凄腕のゲーマーでもある太田翔典(おおたかけのり)の二人だ。

 

 獲物を運ぶときは無防備な状態になってしまうため、二人は集団から離れ、あらかじめ危険な肉食獣を遠ざけたり、空襲を警戒したりしていたのである。


「おつかれさーん。どうだった?」


「問題無し。あとは倉庫に運ぶだけだぜ」


 カケノリと同じサッカー部の芦田風雅(あしだふうが)が解体作業が無事に終わったことを簡潔に伝えると、二人はうんうんと頷いた。


「そうかそうか、ありがとな! こっちも大した問題は無かったぜ」


「あぁ、いつもの狼と大鷲どもを蹴散らしたくらいで目新しい異常はなしだ。ラギ長も、割とマジめに助かったぜ、サンキューな」


 ニカッと笑うカケノリに、ヤスラギは思わず笑い返す。


「こちらこそ、色々と勉強になったよ。戦闘探索班も人手はまだまだ必要そうな感じだね」


「そうなんだよー!」

「おわっ!?」


 突然、誰かが斜め後ろから肩にガバッとのしかかってきた。


 だらしが無いと生活面でよく怒られている藤沢昌汰(ふじさわまさた)、通称フジマサだ。


 フジマサはヤスラギに対し、そのままの体勢で不満をぶちまける。


「狩猟や警備ばっかで、メインの探索が全然進まなくてさー……!

 もしラギ長が来てくれれば、チームを三つに分けて効率化ができるかもしれないんだよ。

 なぁー、ラギ長、どうにか来てくんねぇかなー」


「3つ……? それは、"狩猟"と"警備"と"探索"で、ってこと?」


 ヤスラギのその問いには、リーダーであるタツヒトが代わりに答えた。


「うーん……、俺は別にいいんだけど、苦手だからって理由で誰かに仕事を押し付けるのは、心情的にちょっとな……」


「ちげーよ。適材適所ってヤツだよ、適材適所」


「まったく、物は言いようだな。俺も班を分けるっていうのには賛成だが、しばらくはローテーションでやっていかないとな」


「ちぇっ。ま、頻度が減るなら、それでもいいけどさー」


 苦手な狩猟と退屈な警備は他人に任せて、未知の冒険に全力を注ぐ。

 流石にそんな甘い考えが許されるはずもなく、やんわりとタツヒトに否定された。


 期待が外れたフジマサはタツヒトの方針に不貞腐れ、見兼ねたカケノリも話に加わってきた。


「オイオイ、まだラギ長が入るって決めた訳じゃねぇんだぞ? あーもちろん、来てくれるっていうなら大歓迎だがな!」


 元々まとめ役を買って出ることの多いカケノリのことだ。気をつかってくれたのだろう。

 なんとかフジマサをなだめつつ、話を戻してくれた。

 

「ありがとう。とりあえず今日はこのあと渉外輸送班を見学するから、夕方の初期スキルを決めるときまでには、どの班にするか決めておくよ」


「そうか、分かった。じゃあ、少なくとも今日中には決まるわけだな!

 もし迷ったらオレみたいに掛け持ちすればいいからよ。ラギ長も好きに選ぶといい!」


「うん、そうするよ」


「運送する? 渉外輸送班だけに?」

 

「やかましいわ、フジマサ」


 下らないダジャレに、あははと僕らは笑い合う。

 服装や所持品こそ全然違うが、普段の学校の休み時間となんら変わらない光景がそこにはあった。


 男子たちが他愛のない話で盛り上がっていると、リオナが小屋のドアを体で押し開けて、続いてぞろぞろと女子たちがログハウスからやってきた。


 見ると、人数分のマグカップをお盆に乗せている。


「ヘイ、男子どもー!」

「おまたせー。お昼できたよー!!」

 

 そういって元気よく手渡されたのは、ホカホカと湯気を立てる大きめのマグカップと、……お箸?

 

 そのミスマッチな組み合わせを疑問に思いながら、ヤスラギは中を覗き込む。


 濃い茶色の澄んだスープに大きめの肉。

 半分に切った煮卵に、その下にちらりと覗く麺を発見する。


 そして、なにより、ふわりと立ち上ってきた香ばしい醤油の香りが、日本人の魂を鷲掴みにしたのだった。


「よっ! 待ってましたー!!」

「サンキュー!! ありがたく、いただくぜ」


 男子たちは慣れた様子でそれを受け取ると、いただきますと呟いたのち、ズゾゾッと勢いよく麺を啜っていく。


「こ、これって、もしかして……!」


「そう、試作品第5号の醤油ラーメン! ……だよ! まだ試作品だから、ここにいる人しか食べられないんだよー!」

名前:狩野達人

年齢:15(10月15日)

性別:男

容姿:174cm、目付きの鋭いイケメン

髪と肌:こげ茶色のくせっ毛ショート、あまり日焼けしてない

一人称:オレ

イメージカラー:銀色、茶色

動物に例えると:狼

似ているキャラクター

(活動報告にあります)


名前:太田翔典

年齢:16(5月15日)

性別:男

容姿:178cmの筋肉質

髪と肌:黒のツーブロック、日焼けマシマシだがそれほど黒くない

一人称:おれ

イメージカラー:青色、ピンク色

動物に例えると:シャチ

似ているキャラクター

(活動報告にあります)

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― 新着の感想 ―
[一言] かなりリアルな異世界生活ですね。 ピ○ミンと称するのも納得です。 それとまだ名前を全部把握できてないけど、それぞれが学生らしい思考で動いているのがまたリアルでした。 また読み進めていきますね…
[良い点] 召喚されたクラスメイト達でうまく役割分担をして目的に向かって動いていく様は読んでいて楽しいです。
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