プロローグ
遥か昔、世界は三つに分かれた。
一つは、人間が住む地上。
二つ目は、神々の住まう天上界。
そして三つ目は、妖の住む地底。
地上に住む人々は大昔より神という概念を信仰し続け、やがてそれは願いとして形を成しこの世には多くの神が生まれた。神は人々の願いを叶えるありがたい存在として、益々人々に信仰され続けた。そしてやがて無償の善意で人の願いを叶え続けるだけの存在だった神達は自我と意思を得た。
しかし世の中そう甘くもできていないようで、神とは対局となる存在も同時に生まれ始めた。それが“妖“だ。
妖は人々の願いから生まれる神とは対になるように、人々の欲から生まれる。妖は人間に害を与える存在であるものの、人間達にはそれに対処する力がない。ただ甘んじて死を受け入れることなどできるはずもなく、やがて人々は神へ助けを求めるようになった。
それから神々の仕事は人の願いを叶えることから妖を退治することへと変わっていった。
そして善行を積んだ人間が人々に信仰されることで神になる“人上がり“という神のあり方も徐々に増えはじめ、多様化し枝分かれした神々はやがて八百万もの数を超えることになった。その増え過ぎた神々を統治するため、その代において最も力のある神々が五代神派となり、神を纏めながら人々の願いを叶えるように。
その五大神派の中でもそれぞれの神派で一番強い力を持つ五柱の神は五神と呼ばれ、多くの人の信仰と神の信頼を得ることになった。
信仰によって生まれた神は、人間の信仰が無くなれば力を失いやがて消滅してしまう。それを避けるためには神々は必死に願いを叶え信仰を集めるか、五大神派に入り半永久的な信仰を得ることで消滅の危険を抑えるしかない。
現代の神々には地上の人間が想像するような煌びやかで美しく、舞や楽器を弾いて過ごしているような優雅な生活などかけらもない!日夜妖を探し駆け回り、事務仕事に追われながらも必死に信仰を集めるなかなかに泥臭い生き方なのだ。
_________そしてこれは、そんな世界に転生してしまった一般人男性が必死にキャラクターを演じながら少しでも長生きするために奮闘していく自己救済物語である。