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04.めんせつ


歩くこと5分。


「ここか」


廃れた看板に”転生運送”。文字は錆びて読みにくくなっている。一見つぶれた工場のようだ。


「なるほどこれは気づかねーわ。」


シャッターの脇の階段を上がる。

入り口には事務所というプレートが貼ってある。


スゥーーー

呼吸整えて気合いをいれる。


コンコンッ


ガチャ


「失礼します!!」



「昨日御社に応募させていただきました虎田 九里と申します!今日はよろしくお願い致します!!」


さすがにこれだけ会社受けてりゃそれなりに慣れてくるものだ。


「「はじめまして

斎藤経久(さいとうつねひさ)と申します。

わざわざご丁寧に。

どうぞ掛けてください。」」


迎えてくれたのは身長は160センチほどの少し頬の痩けたおじいちゃんだ。古風な名前だ。社長だろうかニコニコとやさしそうな印象だ。


「「突然だけど履歴書あるかな??」」


「はい!!」


「「ありがとう拝見させていただいて…」」


………履歴書を読む無言の時間。初対面の人と無言になるこの瞬間は永遠にすらおもう。


「「トラックの運転手を8年!すごいねーーー」」


「いえ!これしか取り柄がなかったもので…」


「「でも会社なくなっちゃったのか。このご時世だもんねー。」」


「「ちなみに事故歴とかはどうかな??」」


…会社から調べられればすぐにバレる。

ここはウソを言わずに正直にいうのだ。


ちなみにこれが自分が落ちているいちばんの理由だと思う。


「実は…入ったばかりの頃は高速でガードレールに突っ込んだり左折でミラー折ったり…もちろんいまはそんなことないですが!!」


「「なるほど…ちなみに怪我は??」」


「いえ!身体は丈夫なので怪我はほとんどしていません!!」


ここも……やっぱりダメか………


「「なるほど…いい…」」


??…聞き間違えか……?


「「突然だけどうちの給料とか待遇はなにかで見たかな??」」


「いえ、存じておりません…」


「「うちは社会保険完備。」」


出たブラック企業の謳い文句。


「「週休二日で仕事は

8:00~17:00

17:00~24:00

24:00~8:00

のいずれかです。」」


トラック乗りなのに8時間ぴったり??

なんだそのシフト。


「「はじめの1ヶ月は研修期間。マンツーマンで教えます。

そこからは一人で運行。うちは運行記録もパソコンで自分でつけて提出してもらいます。」」


なるほど人手不足っぽいもんな。


「「ちなみに国家公務員です。」」


…………なるほど公務員ね…………は?!


「はい?!」


トラックの運ちゃんで国家公務員?!

どういうことだ?!


「あ!あの!!トラックの運転手…ですよね??自分間違えて応募したわけじゃないですよね??」


「「はい。大丈夫ですよ??」」


どういうことだ?!何を言ってるんだこいつは?!頭おかしいのか?!


「「続けても??」」


「すみません、、お願いします」


「「給料は総支給¥400,000からです。

ボーナスは夏と冬に2.5ヶ月分。」」


なんだその破格の待遇は……


「「ここまでで質問はありますか??」」


質問したいことだらけだけどあんまり聞かないでおこうかな…まだあったばかり。

機嫌を損ねて不採用なんてなりかねねん…


「働かせていただけるのであればなんでもがんばりたいと思っています!!」


老人はニコッとして

「「採用するにあたって少し試験があるんだけどこれからいいかな??」」


これから?!ほんとに突然だ!!!

着替えは持ってきていない。


「時間は大丈夫ですが…スーツですがよろしいですか??」


「「着替えは従業員用のつなぎがそこのロッカーにあるからそれに着替えてくれるかな??」」


「わかりました!!」


社長らしき老人意外誰もいない。

ここで着替えてしまおう。


「「あと、着替えたらこれにハンコもお願い。」」


仕事内容を他言しないようにする誓約書か。

これは会社なら当たり前かな。

ただでさえ怪しいしな…

ハンコを押す。


「はい、お願いします。」


「「はい。それじゃあついてきて」」


カツッカツッ


……薄暗い階段を降りていく。

もう2.3分は降りてると思うが…


(こんなに建物大きかったか??)


「「お待たせ。ついたよ」」


薄暗い階段が終わりようやくついた。

キィィィーーーー

大きなドアを開ける。


「ッッ……まぶしッッ…………」


そこには大型のトラックが2台。

飛行機の滑走路ほどのひらけた空間。

少し大きめのプレハブのような小屋。


「「…ここがぼくたちの仕事場です」」


「ッッッ……」


まだわけがわからない。

とてつもなく明るいライトに照らされて自分が物語の主人公にでもなったような。


しかし一方でこの世の深淵を覗いたかのような不思議な感覚。


しかしなぜだろう。胸が高鳴っているのは。


幼いころにカブトムシを見つけたような。

20歳になって酒を覚えたような。

上京したてのわくわく感のような。


言い表せない感情。


聞きたいこと言いたいことはたくさんある。

でもこういうときはこの胸の高鳴りに身を任せてしまおう。


「よろしくおねがいしますッッッ!!!」


老人はニコッとして。

「「いい返事だね!こちらこそよろしくね!」」



………………………


これからはじまりますは

この国日本でどこにでもいる男と

少し変わった会社のおはなし…


………………………

読んでいただきまことにありがとうございます。

改善したほうがいい箇所など教えていただけると幸いです。

おもしろければブックマーク、評価をおねがいします。はじめての投稿なのでとても励みになります。

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