02.ボロボロの小屋⁇
次の日
「いや即面接とかやばいでしょ絶対…」
起床してメールを見たらなんと午後1時から面接だったのだ。
頭を洗い気合のポマード。串でかきあげる。
就活はオールバックというルーティーン。
スーツに身をつつみ家をでる。
家からは2駅ほどだった。
せいぜい30分もあれば間に合う距離だ。
最寄り駅で降りてホームをぬける。
時計に目を落とす。時刻は12:00
「まだ少し早いか…」
成人祝いに親父に買ってもらったハミルトンの時計。そんなにすごく高いわけでもないがここぞのときにはいつも一緒の相棒だ。
「時間つぶすか」
……………………………
(よかった。近くに喫茶店があって
“喫茶店ぶらり”
喫茶店にしてはあまり洒落てない名前だな。)
カランカラン
「「いらっしゃいませーーー」」
短髪で黒髪の可愛らしい女性店員が迎えてくれる。
20歳そこそこだろうか。
小物やグラスがアンティークな雰囲気のお店だ。
なるほどぶらりと寄れそうだ。
「ブルーマウンテンひとつください」
カウンターに座り注文をする。
カウンターがすきなのだ。
「「はーい」」
コーヒーの味はハッキリ言ってあんまりわからない。ただ最近は苦いからうまいに代わってきたから少しは大人になったのかなとは思う。
「「おまたせしましたーー」」
「ありがとっ」
ズズズっ
うん。
やはりあまりよくわからないがおいしい…とはおもう。
「「お兄さんお兄さん!」」
???
「「今日ちょうどマスターいなくて暇だったんでシフォンケーキ焼いてたんです。食べませんか??」」
財布の中にはあと五千円。
ま、まあ大人としてシフォンケーキくらいは…
「………ちなみにいくら??」
「「??…ははっ!いりませんよ趣味で作ってるだけなんで!!」」
「ほんと?じゃあお言葉に甘えて!!」
「はーい!いま持ってきますね!」
……………
「「お待たせしました!!」」
「ありがと!!いただきます!」
もぐもぐ……
「ん!!美味しい!!」
「「ほんとですか!やったね!!」」
ガッツポーズがまた可愛らしい。
本当に美味しい。
コーヒー単体よりもケーキと一緒のほうが美味しく思うのはなぜだろう。
アツアツのコーヒーとシフォンケーキ。
パンに牛乳。お茶にようかん。
合うっていうのはこういうことなんだろうか。。。
「「お兄さんはお仕事なにされてるんですか??」」
「ううっ………実はこの前会社潰れちゃって。これからここの近くの”転生運送”ってとこに面接に行くんだ……」
「「あ!!そうなんですか!!ごめんなさい!!私空気読めなくて!!!」」
「いやいや全然大丈夫だよ!!それよりどんなところか知ってる??トラックの運転手みたいなんだけど」
「「ほんとにすみません…
んーーー”転生運送”……あのボロボロの小屋かな……」
「ボロボロの小屋…??」
「「あ、いや!そこで荷下ろししてるのをたまにみるような…すみませんこの辺りではそこくらいしか思いつかなくて…」」
「いやいやボロボロでもこのご時世職につければ全然ありがたいよ!!」
「「すみません…」」
何度も謝らせてしまった…
罪悪感がすごい…
「…そろそろ行くよ!!美味しかった!ありがと!!」
「「は、はい!!頑張ってくださいね!!」」
「ありがと!!ごちそうさま!!」
会社に受かればまたこよう…
そう思って店をあとにした。
「「ありがとうございましたーーー」」
読んでいただきまことにありがとうございます。
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