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21.情報屋を隠すのは情報屋の中でしょう。

情報屋を連れて入ってきたのはビタス・フォン・クルーブという元冒険者の副ギルド長であった。

小太りの本部長と違って筋肉質のがっしりとした感じがする。

副ギルド長も貴族の称号を持っているが話し方が雑であり、とても貴族と交渉できる感じがしない。


「俺は貴族とは名ばかりですよ。たまたま貴族様を助けたら称号を頂いただけです」


貴族の対応がギルド長で、冒険者を束ねている実務が副ギルド長らしい。

なるほど、ギルド長と副ギルド長に分担しているのか。

確かに、この太ったギルド長の命令に冒険者が話を聞くとは思えない。

一方、副ギルド長が貴族相手に交渉なんてできそうもない。

巧くできている。


副ギルド長が連れてきた情報屋ら10人ほどが壁に並ばされた。

どこかの刑務所の囚人のようだ。

他にも情報屋がいるらしいが、声が掛けられる者だけを連れて来たと言う。


「これは指定クエストです。毎月、報告書を上げるだけで金貨1枚を保障しましょう」


私がそういうと、「おぉ~!」と小さく声を上げる者が何人かおり、声を上げなかったのがベテランのようだ。

悪路(下町)の様子を報告するだけで金を出すというのだから喜びもする。

細かい指示は追々出すと言っておいた。

また、貴族に関わる噂や情報は別途料金で追加する。

興味なさそうに扉の方に歩き始めたのはミハウと名乗った一匹狼の情報屋だ。


「気に入りませんか?」

「紐付きになるつもりはない」

「お嬢様、ちょっとよろしいでしょうか?」

「何でしょうか? ロジャーと名乗ったかしら」

「はい、ロジャー・バックでございます。情報屋ですから情報を売るのは構いませんが、エリザベート様、並びに、ヴォワザン家の情報をその他の貴族に売るのは禁止されるのでしょうか?」

「いいえ、禁止しません。わたくしが知りたいのは民草の情報です。我が家の情報を他家に売ったとしても罰するつもりはありません。ただ、我が家も秘匿する情報が沢山あります。それを覗き見するつもりなら、それ相応の対価を払って頂くことになります」

「だそうだよ。ミハウ君」

「ロジャーは引き受けるのか?」

「もちろん、金が貰えるなら、どんな情報でも売るさ」

「俺は遠慮する」

「そうですか、それは残念です。ですが、情報はいつでも買わせて頂きます」

「なら、サービスだ。帰り道は大通りを使った方がいい」

「来た道に何かありますか?」

「誰か知らんが、ヴォワザン家の馬車を襲うつもりだ」

「ありがとうございます。アンドラ」


私は指を1本だけ示す。

アンドラは懐から金貨1枚を指で弾いた。


「豪気なことを言う割に湿気ているな」

「その情報に価値はありません。ただのお礼です。貴族は常に襲われるものです。それに雑魚がいくら集まっても雑魚は雑魚です。もし、大物が一人でもいたなら、侮辱したお詫びに金貨100枚を贈呈しましょう」

「そうか! 100枚は無理そうだ」

「ところで、誰か雇ったのかを言えるのなら金貨10枚を追加しますがどうですか?」

「知らんな」

「そうですか、それは残念です。そうですね! 他家の有力令嬢が暗殺や誘拐される計画があるという情報なら金貨1,000枚を用意しましょう」


くくくっ、ミハウは笑って出ていった。

好感に思われたのか、奇妙に思われたのか、掴み処のない情報屋であった。

一方、ロジャーはヴァルテルの部下の一人だ。

ミハウはいくつかの貴族に情報を売るやり手の情報屋らしく、ロジャーと割と仲が良いらしい。

シャイロックに指示を出す役目はロジャーに任せ、情報を集めるのをミハウと思っていたのだが当てが外れた。

ロジャーはヴォワザン家と関係なく、家の元締めであるカーミラ姉さんにも情報を売って中立を演じて貰うつもりだったのだが仕方ない。

私にも情報を売りながら、別の貴族にも情報を売る二重スパイを演じて貰おう。

二重スパイならロジャーがシャイロックに接触しても疑問に思う者はいない。


この葉を隠すなら森の中、人を隠すなら人ごみの中だ。


ミハウの警告通り、来た道を戻ると馬車が10人ほどの夜盗に襲われた。

雑魚過ぎる。

土魔法『アース・ピック』で「モズのはやにえ(早贄)」にしておいた。


誰かからの警告なのだろうか?


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