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VSおっぱい拳 THE アルティメット るんるん   作者: 前歯隼三
幕間 海を渡った三人娘
5/28

大崩れと中華鍋

R01.11.17 修正

ズドドドドドドーーーン!

海が割れ岩山に食らいつくのは巨大なクジラ

岩をも砕く巨大な牙と、赤く輝く8つの瞳の怪物魚!


「ハハハ…出たな!大妖“大崩(おおくず)れ”!」


 ここは闘界道(とうかいどう)は海沿いの難所、抉れた岩山を通り抜ける細道であり、この岩を抉った海の怪物、巨大なクジラ“大崩(おおくず)れ”の縄張りだ!


ズドドドドドドーーーン!


「気を付けて欄乱(らんらん)!」


「任せとけよ鈴々(りんりん)!」


 “欄乱(らんらん)”そう呼ばれたのは、特徴的な二つの御団子髪を頭にのせて、背に中華鍋を背負った少女…なかなかに特徴的な見た目だが、彼女の一番の特徴はそう“獣のような眼光”だ!


「料理するのはいいけどょお?」


 今まで幾人もの旅人を喰らい、膨れ上がった巨躯の怪物それを前にして小さな少女の…その眼光は揺るがない!

 不遜に笑う少女の口元、尖った牙がちらりと見える!


「ここから運ぶのがめんどいなぁああああ!」


ゴゴオオオオン!


「あらら珍しい」


 鈴々(りんりん)と呼ばれた少女が呟いた。

 欄乱(らんらん)とは対照的に、“お嬢様”な和服少女だ、水しぶきをよけながら岩場の上で見学をしている。


ザブブブブブブン


「っと!こーんなもんだろ!」


 15メートルを超える“大崩(おおくず)れ”その巨体を…少女の一撃が打ち上げて…海へと沈めた。

 手に持った武器は中華鍋、あれほどの衝撃に歪みもない。欄乱(らんらん)は背中のカバンに鍋を取り付け、沈めた大妖に声をかけた。


「おーい魚!死んじゃねーだろ?」


 ブクブクブク…

 波をかき分け姿を出した大崩れは

 頭に大きなコブをこさえておった。


「カカカ!良し良し!良く生きてた!!」


 欄乱(らんらん)はそういうと、お嬢様…鈴々(りんりん)に顔を向けにかりと笑う!


「こいつの背にのせてもらって!とっとと静畑村ってとこに向かおうぜ!式に遅れたら大変だ!」


「あー、だから素手じゃなかったのね」


「あぁ、手加減で得物使ってやったぜ!」




   ◆    ◇    ◆    ◇





ザブン ザブン


 大妖 大崩(おおくず)れの背に乗って、ふたりの少女が静畑に向かう。


「本当によく生きていましたねぇ…“鍋”を使ったにしても、欄乱(らんらん)の馬鹿力で殴られて」


 鈴々(りんりん)がよしよしと、頭のコブを撫でてやると、怯えていた大崩(おおくず)れが落ち着いた。

 実際はあの後逃げようとして、鈴々(りんりん)に捕まり…彼女の拷問に屈し部下となったのだが、うん、良く言う事を聞く、素直なクジラだ。


「…お!乗り心地が良くなった!さすが鈴々(りんりん)嬢ちゃんだ!」


 二人は列島“日野元帝国(ひのもとていこく)”の人でなく、南の島の、小さな国からやって来た。

 理由は先日、1年ほど前旅に出た“鈴々(りんりん)の姉”から手紙が来たのだ…姉の語彙力の無さとまさかの内容に理解し難いが…どうやら祝言を上げるらしい。

 余りのショックで父は倒れ、遠方と言うのでとりあえず妹の鈴々(りんりん)と親友の欄乱(らんらん)が出向いたわけだ。みんな彼女の式に出たがったが、そうそう仕事を置いてもおけず…まぁ、姉と旦那を島に呼んでその時に披露宴を開く予定だ。


「…まったく、自分の立場をわきまえず!お陰で“御鉢(おはち)”が私に回ってきそうですよ!」


「ハハハ!来そうじゃなくて決まりだろ?そんときゃ頼むよ“乙姫(おとひめ)様”!」


「うぅ…ナユタの修行もしていたのに、人生設計が沈没です…あぁ…」


 欄乱(らんらん)の我関せずの台詞にため息一つ、鈴々(りんりん)は家を飛び出した姉を思う。小さい時から掴みどころのない人だったが、修行一本、学問と色恋に興味なんて無さそうだったが…ぅぅん


「それにしても……流々(るんるん)姉さまが惚れるだなんて」


「一体どんな男なんだろうな?」


 この時二人は知らなかった。

 鈴々(りんりん)の姉にして、欄乱(らんらん)の親友…遥か南の島の国、“琉宮王国(りゅうきゅうおうこく)”の乙姫(おとひめ)、元候補…「流々(るんるん)」の相手がまさか、ハゲで甲羅で全裸などとは。



乙姫(おとひめ)の呪いってあるんですねぇ…」


「…なんだっけそれ?」


「あーもう!あなたも姉さまも!国の歴史ぐらい勉強なさい!」


ザブンザブン


 洲琉牙(するが)の港にクジラを着けて、手紙の地図を漁師に見せる…


「おぉお!牙クジラ倒した嬢ちゃんの妹か!ほーっ!妹の方は殺さないんだな!」


 巨大な化け物の着港に武器を持って集まっていた漁師達は警戒をといた、代わりに大崩(おおくず)れがビクリとする。


「大丈夫よ?良い子にしてたら殺さないわ?」


 フーフーフー


「でも、旨かったなぁ…牙クジラのステーキにワサビを乗せて…」


「ほぅ…」


 欄乱(らんらん)の目つきが怪しくひかり、嘗め回すように大崩(おおくず)れを見る。

 涎を拭う口元に鋭い刃がぎらりと覗き、そんな彼女の頭をぺちんと鈴々(りんりん)がチョップした。


「この子は帰りに乗せてもらいましょう?ほーら大崩(おおくず)れちゃんお菓子をあげるわー」


「おいおい、今から山登るんだぞ?こいつその隙に逃げるだろ?」


 帯にぶら下げた麻袋から、小さな団子を取り出して投げてやる鈴々(りんりん)大崩(おおくず)れに、欄乱(らんらん)は眉をひそめて疑問をゆう。欄乱(らんらん)は料理人、彼女にとって魚はただの食材だ。


「あー大丈夫よ、この子頭いいから…ね?」


「ブォオオオオオ♪ブォーーーー!」


「言葉解るわね?いい子いい子?」


「ブォオオオ!」


「さっきの御団子毒入りだからね?ちゃーんと私達を待っててね?」


「ブォ…ッ」


 港の漁師に毒団子と解毒団子を渡し、用法を伝える。

 前日の毒は消しながら、翌日に毒を残す奴隷の調合、非道の技。


「さぁ行きましょう欄乱(らんらん)!姉さまのお相手が気になります!」


「あ…あぁ、私も気になるが、うーん…なんか嬢ちゃんが乙姫(おとひめ)になるの不安になったぞ。」


 二人は徒歩で北へと向かう…川沿いを山に向かえば静畑村だ。








挿絵(By みてみん)


欄乱大崩れ図


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