魔王の皿とおっぱい拳
説明回
「ようやっと…この時がきたのぉ知月」
「親父…あぁ、俺がケリをつける…これは…俺の罪だ」
馬のいななきが尻喰らいの存在を知らせてから
知月の行動は早かった。
静畑村の村長に頭をさげ
女子供を街へと逃がす
河童村への連絡のため
静畑茶のような緑の狼煙を上げて蛙笛を吹く。
「一刻も早く片付けたいが、…親父の到着をまった方がいいな」
「あなた」
「ルンルン、お前も街へ逃げるべきだぞ?」
「何をいってるの…これは。“私たち河童”の問題でしょ?」
「……!!」
パチパチパチ
松明に照らされた妻の顔の…なんと勇ましく
愛おしい事か!
人の身でありながら、俺を愛し…俺の一族を受けいれてくれる!
あぁ…ああああああ!!
「くかか!一大事と慌てて山を下れば…もうちっとゆっくりくればよかったかの?」
「…親父!それに…みんなも!」
“尻喰らいが出た”との知らせが届き
河童村から親族と、頼もしい親友達がやってきた!
「っへ…お前と兄貴には世話になってる、俺にも力を貸させてくれよ」
女とみれば尻を触り…人の里で服役していた幼馴染 沢尻!
結婚式には間に合わなかったが
なんとか出所し…今回は駆け付けてくれたようだ!
「ぼへへ、おでの作った“器”が必要だってきいてな!」
土をこねるコツは、女の尻を揉みしだくように強く優しくとが口癖の
河童村の“器焼き”揉尻!
「元をたどれば、俺も原因だ…、テメーのケツはテメーでふくさ」
面々の中でもっとも鋭く
切れ長の目にけつ意を見せるダンディーな男は胸尻
“おっぱい拳”の正当な当主だ。
俺たち“5人”は、子供の頃よくあそんだものだ。
河童村で悪さをして
静畑の動物に悪さをして
人の里に出て悪さをして…兄貴は…そんな俺たちを守るため
いつも太々しく、悪辣な顔で笑ったものだ
…くかかかか!悪いがおいらは人じゃねぇ、河童は人外つまりは外道よ!
…外道に道を説くなんざぁ~ お前らの頭は空っぽだな!
「小さい時はかっこよく見えたんだがな」
「くかか!務所帰りのお前には“富士見”も言われたくねーだろうよ」
「うるせぇいや!…ところで?そこの素敵なお尻のお嬢さんは?」
「くんくんくん…旨そうだ」
ポンポンポン
親父が頭の皿を叩いて場を占める。
「知月の嫁っこルンルンちゃんじゃ!わしの娘だで手をだすなよ?」
「くか~おっかねぇーや!」
「ガキの頃みてぇーに皿にワサビ塗られちまうな!くかか!」
「岩で封印もやだなおいらは」
…やれやれ、騒がしい3人だ。
嫁の幼馴染達に比べてみて品が無さすぎる。
まぁ…あちらさんは貴族、こっちは妖怪。こんなもんか。
「初めまして!最近河童一族に入れさせて頂きましたルンルンです。よろしくお願いします!」
「ええこやん!」
「知月!?お前勝ち組かよ!?」
「嬢ちゃん友達紹介してーや!」
…そんなこんなでメンバーがそろった。
東の空がぼんやりと白む
「はじめるかの」
親父の声で皆動き出す
沢知が炭火で「ぼんじり」を焼き、うちわで匂いを山へ飛ばす
揉尻が風呂敷から大きな大きな白い器を取り出した。
親父が器の上に腰を下ろし
親父の頭に胸尻が大きな“桃”を置く。
ルンルンが木材を手刀で加工し杭にして
親父の周りに俺が刺す
パチパチパチ
ジュゥウ
鶏の尻の辺りの肉“ボンジリ”
豊富な脂が火に溶ける
串をつたって地に落ちて
なんとも言えない匂いが満ちる。
「さて…奴が来るまでに、昔話でもしようかのう」
親父はそういってルンルンを見た。
俺たち河童は何度も何度も聞かされた昔話
親父が子供のころ行ったという“大陸”の話だ。
豚のトントン
猿のウキウキ
偉いお坊さんのパイパイと共に
牛魔王と戦った昔話
「わしの役目は“封印”じゃった。河童の“器”を使ってのぉ~、あの時代…何もかもがおかしかったんじゃ、王も牛魔王も…
今の“富士見”のような目をしていた。」
親父が旅の果て
もって帰った物は二つ
“おっぱい拳”と“魔王の皿”だ。
親父は
おっぱい拳を“忌み技”
魔王の皿を“呪いの皿”と言いながら…
技は子供たちにと伝え
皿は祭る社を作った。
どうやらそれが“契約”らしい。
親父は旅をよく話したが
決して話さない事も多い。
…興味も持ってしまったのは俺だった。
俺はなんでも知りたがるガキだった。
兄貴達に言って
みんなで倉にしのびこんだ。
おっぱい拳の後継者とされた胸尻も
受け継がれる技の元には興味があったようだ。
俺と胸尻二人で騒いで
他のメンバーを巻き込んだ形だ…
おっぱい拳と大皿と
二つ以外になにかあると思ったんだ。
あぁ…
馬鹿な事さ。
バリン
誰だったかな、いや…俺たちだ。いや…俺だ。
俺の発案で
社の奥の「皿」が割れた。
血相変えて慌てる俺たち
俺は憤怒した親父を思って怖くて漏らした。
他のみんなも、
舌をかみちぎろうとする者もいた。
「くかかかか!」
そんな俺たちの頭の皿を
兄さんはポンポンポンポンと叩いて笑った。
「くかかか!大丈夫だ…俺が街で売った事にするぜ!」
唖然とする俺たち
…いや、正直ほっとしたんだ。
あの時に戻れるなら殴り飛ばしたい。
「“兄貴”そんな…そんな事したら村に入れなくなるぞ?」
「そうだぞ富士見?みんなであ…あやまればばば…おうぇえええ」
「うわ!吐くなよ!気持ちは解るけどよぉ!ワサビは怖いよ」
「くかかかか!任せろ任せろ…おいらは器がデカい男だ!」
兄貴は散らばった皿を集めて…背中の甲羅の中にしまった。
「…それによう!!もうこんな村でようと思って居たことだしよぉー!」
…あの後兄貴に何があったのか…
数十年、兄貴の話は聞かなかった。
風の噂に大陸へ行ったとか
シンガーソングライターで成功したとか
イカ墨おでんなる料理屋を開いたとか
そんな話を小耳にはさんだ。
…でも…
あれから何十年だ…
河童の寿命は長い…何十年も立ってから
人里に下りた知月は“外道=尻喰らい”の話を聞いた。
のしり…のしり……パキ…
「おっと、お話はここまでのようじゃのう…」
親父は神妙な顔で、山を見やる
「えぇ…ありがうございます。わかりました…皆さんの痛みが…」
ルンルンは涙を拭いて…一歩さがった。
本当によくできた、自慢の嫁だ。
兄貴を正気に戻したら…自慢してやるんだ。
のちゃり
のちゃり
緑の体は怪しくぬめり
皿と甲羅…そしてくちばし
だらしなく開かれたその口からは、鋭利な歯とうねる舌がのぞく
のちゃり
のちゃり
沢知も 揉尻も 胸尻も
この再会に胸がこみ上げ…、何も言葉が出ないようだ。
ここは俺が
弟の俺が言うべきだろう。
「来たか…尻喰らい…いや“兄貴”!」
覇外甲羅=知月と覇外甲羅=富士見
兄弟の戦いが…今…始まる!
「またお前かよデカブツゥウウ」
富士見の瞳には何も映ってはいやしない。
ひび割れた瞳の奥に…牛魔王がいた。
……
…………
………………
河童長老は瞳を閉じて
旅の終わりを思い出す。
<滅ぼせない魔王の魂>と<魔王を滅ぼす技>
この二つを託された旅の終わりだ。
「パイパイ様…どうか力を…おかしください!」
わいわ…オリキャラの不幸を受け入れない
あぁ
受け入れられない!
だから駄目なんだ!
名作が書けない!
ちくしょうめい!




