歓迎会
紹介回
「うぉおお!おけーりルンちゃぁああああん!」
「パパン!ただいま!オロロロロロ」
ここは琉宮王国の玄関口
ともしび島の人魚岬
体調を崩し動けないはずのパパン
国王ドンドンは元気な様子で迎えに来ていた!
「お父様…お姉様の結婚相手、新しい家族“覇外甲羅”家の方々をお連れしました」
「ほほーん」
「はじめまして国王様…この度は私…」
村では常に全裸だった知月がタキシードを着こんで挨拶をはじめる
何分山生まれで、人間の常識、ますて国王相手の挨拶もわからぬが
とりあえず礼として服を着てみた。
「良い…おぬしはもうワシの息子じゃ。わいの事はパパんとよぶがよいぞ?」
「パパん…まことにありがく…」
「ハハハ!楽にしなさい!」
「……!!」
パーーン!
知月は王の言葉に感動し
全身の筋肉を膨張させ、身体を締め付けていタキシードを吹き飛ばした。
楽にしなさいとは…ありがたい!
「ありがとうございます!」
「ホッホウホウ…リンちゃんこっちへ」
「……」
王の従者や島の人達に事の経緯や河童達の説明をしていたリンリンが王によばれた。
「大丈夫?ねぇ…ルンちゃん大丈夫?…わし、結構多くの人と会ってきたけど服脱ぎだした人はじめてなんだけど?」
「…まぁ、河童ですから」
「うーん…手紙で知ってたけど…うーん」
「お父様…諦めてください、先祖の血です」
琉宮王国の始祖は家を飛び出した人魚姫<乙姫>と人間の夫婦からはじまっている。
家を飛び出し、異種族と恋をする。
その流れは初代だけでなく、何代かに一度起こってきた“乙姫の呪い”
…うん、覚悟はしていた。
でも全裸か…うーん
「リ…リンちゃんは大丈夫だよね?」
二人目の娘
リンリンは真面目だが、初代の伝説を“ラブロマンス”としてもの凄くはまっている。コワイ
パパんの質問に
リンリンは微笑み。
海で獲った牙マグロを誇らしげに島民にみせる河童小僧を見つめた。
(うーむ、熱い視線じゃ…パパん不安!…ぐぬ…しかし、島民の誰かなら全力で応援するかの)
◇ ◆ ◇ ◆
その日は静畑からの面々と旅から帰ったルンルンの歓迎会が行われた!
振舞われるのは琉宮王国の郷土料理
河童小僧は目を輝かせ手を伸ばした最初のお皿
そこに入った苦い野菜が駄目でしゅんとしたが
自分がとった牙マグロが出てくるとピョンピョンと跳ねて喜びを表現した。
「か…可愛い」
河童という未知の種族に、好奇心と不信があった島の面々だが
河童小僧の存在で印象は+100だ。
知月が脱いだ時は-200だったので大分良くなった。
ありがとう河童小僧
「いや~ルンルン様が飛び出して行った時はびっくりしましたが、まさかご結婚して帰ってくるとは」
「テヘヘヘヘ」
ルンルンの世話係だったという
海坊主のザブザブは感慨深げにかつての主を見る。
ザブザブは初代乙姫についてやってきた臣下の血族
琉宮王家に仕える7つの名家
琉宮七星家の次男坊、文武に長け、人柄もよく王の信頼厚く姫の教育を任されていた。
「河童という一族には初めてお会いしましたが、何やらシンパシーを感じますなハハハ」
「おいランラン!どーなってるんだい?あんな裸男ちゃんと止めろよな?」
「いやな、私もそう思ったけどいい人なんだよ。」
一方、ランランに絡む獣人娘ガルガルは結婚に反対のようだ。
彼女の家も竜宮七星家の一角で
3代ほど前の姫が大陸を旅して連れ帰ったライオン男の末裔だ。
「なんだあの裸体はよ…ハゲだし。男はもっと…毛深くてだな」
「うん…おまえのフェチは解った。大丈夫だ。きっといいひといるさ」
ガルガルは最近失恋していた
お相手は南方から商売できていた牙ゴリラ族の男性で…ビザの切れ目が縁の切れ目だった。
琉宮王国は交易で栄えた島国だ。
静畑のある煮本はもちろん
ザブザブの先祖の故郷、海底の龍宮王国
ライオン男の故郷、大陸や
牙ゴリラのいる南国の島々
色々な人々が絶えず出入りし
喧噪と笑い声が絶えない国。
言葉も価値観も違う人々の中を取り持つのは
料理と酒と音楽だ。
「それでは!あらたな血の繋がりじゃ!万国と通じる我が国に、あらたな家族が加わった!
…新たな家族を迎えるのに必要なのはなんじゃ?言葉か?料理か?音楽か?…いいや酒じゃ!おとうりいきまぁああああす!」
すでに出来上がってる国王が、とつぜん演説を開始して杯を掲げ一気に飲んだ!
そして空の杯に酒をそそぎ、隣に渡す。
となりにいた河童族の長老は喜々として酒を飲み干し
酒をそそいでとなりに回す
受け取ったリンリンは河童こぞうにガルガルにルンルンにザブザブに…
音頭をとって杯を回す
これが万国と交易をつづけたこの島国の宴の文化だ!
言葉も文化も種族も違えど
同じ物を口にして繋がるのだ!なんとも素晴らしい文化でないか!
「それでは2週目!河童長老どの音頭をどうぞ!」
問題は一周で終わらないこと
延々と始まった酒飲み地獄
「そこでね!現れたのは世にも悍ましい“尻喰らい!”…そいつはわたしの胸を掴んでこういったの!
“おっぱいなくね”って!」
酔いが回ったルンルンは、周りからの催促もあり…知月との馴れ初めを熱弁、熱演していた。
「失礼な奴じゃな!全軍を率いてぶちころしてやりたい!」
「大丈夫パパん!…私は悔しくて泣いて怖くて泣いて…気づくと尻喰らいは滅多切りになっていて…それで、
知月さんがやさしく抱きしめてくれてたの…」
「ええやん!ええやん!何それ!?毛深くないけどええやん!」
「…勘違いされてそうだけど、尻喰らい倒したのはルンルンだぞ?俺は泣きくれる彼女を抱きしめただけだ」
大いに盛り上がる宴会だったが
酔ったルンルンが机や椅子に手刀を振り下ろしながら再現するのでヒヤヒヤだ。
従者の目もヒヤヒヤだ。片付けご苦労様です。
「それでも凄いですな旦那殿、怒った時のルンルン様、暴走を前にして逃げず…まして抱きしめるなど…並の男ではできません」
「島の男共なら確実に逃げ出すもんな、全力で」
「いやいやいや…命は大切だろ?うん。お姫様こわいよ」
杯回しが30週を超えたころ
まともな島民、人間は一人残らず倒れ
残っていたのは河童と人魚の末裔と獣人や海坊主の末裔だけだ
どうやら妖怪はアルコール耐性があるらしい。
しかしまだ子供だからか
河童小僧とリンリンは潰れていた。
「さぁ!じゃぁ…尻の可愛い俺の嫁にかんぱーーい!おとうり!!」
50週目もぐびぐびぐび
「妹分だと思ってたのに先をこされた…うぅ…負けない!私だって…おとうり!!」
70週目
「乙姫の呪いが憎らしい!…うわーん寂しい!ねぇ?知月くん王座に興味ない?越してこない?おとうりぃいいい!!」
85週目
…夜が明けた。
王様は公務があるということで
そのまま仕事に出かけて行った。
…この歓迎会も、そうとう無理をして作ってくれたようだ。
「王に必要なのは知恵と勇気と酒の強さじゃ!」
国王ドンドンはそう言って会場を後にした。
「うおおおん!おでも…おでも寂じぃ…あぁああ!旅に…料理修行の旅でも…いごうかなぁ…おどうりぃい!」
99週目
「わかどぅはランラン!…うぅ、一緒に…一緒に大陸いかない?…ひっぐ…おどうりぃいい!」
100週目
最後まで残ったのはランランとガルガルだった。
アルコールへの強さというより
片づけを始めた従者たちの氷の視線を物ともしない鋼のメンタルがすごかった。
ルンルン
ランラン
ガルガル
そして
リンリン
人の行きかう島国と言っても
出入りがあるのは大人ばかり
子供の数は少なかったし
家と種族的な関係で、この四人はずっと一緒に居たようなのだ。
「嫁の友人が良い人らで良かった…絶対幸せにするから安心してくれ!」
「「当たり前だろ!不幸にしたらブチ殺すぞ!?」」
こうして
琉宮王国の一日目が終わった。
琉宮王国七星家
…王家に代々仕えてる血族、直系のみ。
半魚人→龍宮上からついてきた世話係
獣人→三代前大陸からきた武術系
鬼人→大陸からきた料理人の家系
天人→二代目王の嫁の血筋
吸血鬼→才能が認めらて普通に出世、成り上がり
人間→初代王の部下だった人の末裔
人間→初代王の部下だった人の末裔
人間→南国からきた人、数代前の乙姫の旦那




