はじまり
未熟者ですが、よろしくお願いします。
少女は、見ていました。
白く輝いた、箱の中。無表情に、無意識に、虚無的に、それを眺めています。
一体どこからが、自分なのか。周りなのか。境目なのか。思考を停めた少女には、それがわかりません。
幸せでした。とてもとても。
どこか満ち足りたその恍惚な気分は、砂のように全身を流れ、指と指の間から消えるように、それが何を示すことなのか知らないまま、少女の身体から流れていきます。
「どうして、」
少女は言いました。
それでも無表情のまま、無意識のまま、虚無的なまま、空っぽで何も無いその姿。
どうして、その「どうして」が出てきたのか、はたしてその「どうして」がどういう意味なのか、さっぱり分かりません。
いいえ、分かろうとしないのです。
だって私たちは他人だから。少女とは何も関係を持ってはいませんから。
だからこそ、私たちは見守るべきなのです。
少女はどこから来て、どこへと向かうのか。
少女はどこへと向かって、どこかに辿り着くのか。
少女はどこかに辿り着いて、どこを選ぶのか。
これは一つの物語に過ぎません。
壊れかけた白いかけらが、儚く積り溶けていくお話。