君の旅路
聞き取りにくい言葉が、全身のうぶ毛の先を走り抜ける。
くすぐったいな、この感じ。
君の放つ暗号に秘められた意味を知りたくて、僕たちは日夜研究する。
頭を抱える必要のない謎に挑む、この感じ。
君が見つめるその先に、巨大な非日常が立ち並ぶ。
万華鏡さえ敵わない、君の瞳に宿る輝き。全人類が敬礼!
スピードアップ!踏み出す旅に、僕たちは巻き込まれるのだ。
スピードアップ!全身で走り出す度に、僕たちは突風を感じるのだ。
君が振り向きざまに見せる歯に、我々は歓声と拍手でこの旅を彩るのだ!
僕らは、聞き取りにくい言葉の登場を待ちわびている。
この幸福感、侮れない。癖になっていい、この感じ。
時には疲れるさ。君が座り直し手を叩けば、巨人の執事と用心棒が参上する!
思いの外、その小さな手を振れば、巨人たちは嬉々と歌い出す!
君の前に聳え立つ幾多の巨塔も、声をあげて笑う君には絶好のロケーション。
もっと欲しいな、君の声。いつか解読するさ。
その手で、その足で、ふやけた床を踏み鳴らせ!
君が立ち上がれば、世界に記念日が増えたことを知らせる一斉送信。
迷惑がらないで。やはり、ここなんだ、目指す未来。
スピードアップ!決して長くない君の手足に、幾多の可能性が刻まれる。
スピードアップ!僕らは君の謎に挑む。この挑戦、笑顔が絶えることはない。
追いかける僕らを、いずれ飛び越えていく君の旅に敬礼!