決死の作戦
僕らは調理室の奥の方の調理台に隠れている。
僕と二人が隠れている台は隣り合っている。
死神は調理室の中を一度見渡すと一番手前の調理台めがけて拳を振り下ろした。
ドン!
「…ウソだろ」
なんと一撃で粉々にしてしまった。
「あんなの喰らったら終わりだねえ…」
星野が小声でつぶやく。
死神は次々に調理台を叩き潰してゆく。
「まさか…全部ああやって潰していく気…!?」
咲宮の声は震えている。
そして遂に残る台は僕らの隠れる二台だけになってしまった。
「マズイな…」
死神が次に視線を向けたのは二人の隠れる台だ。
このままでは二人が危険だ。
どうしたら二人を助けられるか。
今この状況で僕が出来ることは一つ。
僕は隠れていた調理台から飛び出す。
後の事を考えている暇はない。
「こっちだ!死神!」
死神がこちらを向く。
「ヴゥ…ヴ…」
僕はゆっくりと入口へ歩く。
狙い通り死神は追ってくる。
「ほら!来いよ!」
こんな無計画な作戦は僕らしくないかもしれない。
星野と咲宮が顔だけ出して驚きと不安の入り混じった表情で僕の方を見ている。
僕は二人にただ一度うなずいて、どこへ行くかも考えないままに廊下を走りだした。




