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プロローグ~前日~

「はあっ…はあっ…はあっ…」


僕は一人で走っていた。後ろから迫る影から逃げるために。


「はあっ…はあっ……も、もう…来ないか?」


物陰に隠れ、周りを確認する。何もいないことが分かり息を整える。


「くそっ…あいつら…無事かな…」


今は共にいない仲間たちを想う。


僕は深いため息をつき、そのため息よりも深く後悔した。


「…廃学校で肝試しなんてやめときゃよかったな」


昨日の放課後の事を思い返す。


前日、12時過ぎ


「なあ(いつき)!肝試しやろうぜ!」


「はあ?肝試し?」


僕、三島樹(みしまいつき)は隣の馬鹿…もとい、高村慶(たかむらけい)


学校帰りの道を歩いていた。


「お前なあ…今日学校が終わって明日から夏休みなんだぞ?」


「夏休み初日に遊んで何が悪いんだよ」


「…期末テスト赤点だらけで夏休みの課題を山のように出されてたのは誰だ?」


「俺だっ!」


ドーン!という効果音が聞こえそうなほど堂々と言い放った。


「偉そうに言うなよ…課題をやれって」


「無理だ!俺には課題などできん!」


「…なんで?」


(けい)は少し悲しそうな顔をした後、


「…課題がこれっぽっちも分からないんだ」


「………」


開いた口がふさがらないとはこのことか。


いっそのこと馬鹿をこじらせて死ねばいい。


「おい(いつき)、馬鹿をこじらせて死ねばいいとか思っただろ」


心を読まれた。


「分かったよ…課題やるよ…どうせ俺は課題にまみれた灰色の夏休みがお似合いさ…フッ…」


いじけだした、本当にめんどくさいな。こいつ。


「…しょうがないな、肝試しぐらい付き合ってやるよ」


「おお!ホントか!」


(けい)は顔を輝かせる。


「なんだよ!行ってくれるなら最初から言えよ!このツンデレ…ぐふっ!」


「誰がツンデレだ!この野郎!」


(けい)のツンデレ発言に腹が立ち、みぞおちに蹴りを入れる。


「ちょっ!まっ!ぎゃああああああああ!」


夏の青空に(けい)の叫び声が響いていた。

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