自宅訪問
タイトルセンスの悪さには目を瞑ってください
「ちょ、駄目です!そそそこは駄目!」
「隙を見せるそっちが悪いんだよーほらほら」
「あっ」
車で連れられてきた場所は、佐々良氏の自宅マンションだった。流石出世頭、住むところがまるで違う。
最初は戸惑いましたよ、やっぱり。佐々良氏の自宅にお邪魔したことが会社のお姉さま方にばれたらと思うとぞっするし。だがしかし、CIS第一シリーズの誘惑には勝つことができませんでした。無念。
あ、言わなくても分かっているでしょうが敢えて言いますと、私たちはゲームをしています。二人対戦プレイです。勘違いしたら佐々良氏に失礼ですよ。
それにしてもCIS第一シリーズがネ申だという噂は本当だったことが明らかにされたことは大変喜ばしい。そして二人プレイも本当に面白い。このゲームは面白さが無限大だな!
「うー、また負けてしまいました…強すぎですよ、どんだけやり込んでいるんですかー」
「この初代からずーっとやっているからね。でも神崎さんも中々だよ」
佐々良氏は本物であった。まさしく本物。そうとうやり込まないと到達できない領域に達している。私自身も達していないレベルである。甘く見ていた…。
しかもCISに限らず、佐々良氏は中々マニアックな趣味の持ち主だったらしく私が知らないような一品も所有していた。
本人曰く、「マイナーな神ゲームを発掘するのが趣味」だそうだ。乙な趣味である。
今まで遥か遠い天空の人という印象だった佐々良氏だったが、この趣味は親近感がわく。
しかし……
「ん?どうした、神崎さん。疲れたかな」
「いえ、」
「そろそろ休憩にしようか。お茶でも良い?」
「どうぞお構いなく…」
美形だよなーこの人。改めてと言うか今更ながらそう思う。
今まで遠くから見ていて、そのキラキラオーラに圧倒されていた。
しかし今日こうやって初めて一対一で正面から見ることで、佐々良氏の御顔が実に端正であることに気付かされた。すっきりとした輪郭、少し垂れ下がった愛嬌のある眼、スッと通るような鼻、口角の上がった薄い唇、そしてさらさらの黒髪。これで眼鏡があったら完璧、って私情を挟んでしまったすみません。
やっぱり雲の上の人なんだよな、あの人は。というか人種が違う。何で人ってここまで違うんだろうね。天と地の差とはまさにこのことだわ。
「はい、玄米茶」
「あ、ありがとうございます」
お茶を持ってきてくださった佐々良氏は、それまで座っていた私の正面ではなく、隣に座ってきた。
何故?
ピッ
佐々良氏はリモコンでテレビをつけた。あ、成程。前のままの席だとテレビ見られないものね。成程。
肩が触れているのも私の肩幅が肉のせいで広いからだよね。成程。
佐々良氏の両腕が私の体に巻きついているのは……暖をとるためですかね。成程?
なるほど