素直もすぎるとただの馬鹿
「あの、佐々良さん、何で家に入っているんですか」
「夕食御馳走してくれるんでしょう?」
「え、そんなこと一言も言ってな」
「俺、お昼御馳走したよね」
「……はい」
そうだった。佐々良氏は自宅で手料理を振舞ってくれたのだった。具沢山の炒飯と餃子とワカメスープという中華料理を。シンプルでありながらもとても美味しかった。
今このような状況になるとわかっていたら、あそこでがっついて食べなかったのに…。いや、けれどもあんな美味しそうな匂いを嗅ぎながらもそれを拒否するなんて、食い意地の張った私には無理だ。はっ!これが彼奴の作戦だったのかっ…謀られた。
「…じゃあ、夕食食べたら帰ってくださいね」
「んー」
……意地でも帰す!
※
手伝うと言ってきた佐々良氏を断って、代わりにCISをしていてもらった。ちなみに第2シリーズ、「闇夜に浮かぶスーパームーン」である。
そのBGMを聴きながら、カレーを作った。
本当ならもっと煮込みたいところだけど、そんなことをしていたら恐ろしいことが起こるような気がして、すぐに完成したカレーとサラダをテーブルに持っていく。
「佐々良さん、完成しましたよ」
ちなみにカレーの量は同等です。可愛らしい女の子だったら、殿方のほうは多くて自分のは少なめにするのかもしれないけれど、私は違います。
「さあ、どうぞ!さっと食べてぱっとお帰りください!」
「はいはい、ちょっと待ってね」
「…あれ?それって第2シリーズですか?」
佐々良氏がやっていたのは第2シリーズだったはずなのだが、テレビの画面に映るのは見たことのない面であった。
第2シリーズではないし、他でも見たことがない。でもキャラクターは完全に見たことのある、第2シリーズのキャラクターである。
「ああ、これ隠しだよ」
「え!?隠しなんてあるんですか!?」
「うん。あんまり知られていないみたいだけどね」
「どうやったらいけるんですか?」
「まあまあ、とりあえず夕食にしようよ。その後でゆっくり教えてあげるから。」
「はいっ!」
この時の私を「馬鹿」という言葉以外で表すことはできません。
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