照らし出される世界
月が沈み始め、園歌ちゃんは再び眠り始めた。
時見くんも落ち着いた…。
あと…、俺ができることは………
…………………。
「時見くん…、園歌ちゃんが眠っている間…、語りかけてくれないかな………。」
「…語り…かける………?」
「…そう、できれば交代しながら毎日続けて欲しい…」
「…何を…言えばいいんですか…?」
「笑顔になれる話がいいなぁ………。」
「…笑顔ですか?」
「幸せになれるなら何でもいいよ…」
「…………………。」
「…ふふっ、いきなり難しいよね…。
…大丈夫!今日は俺が話すから………」
「…先生が、ですか?」
「夜中に病院に来て疲れているでしょ………?
時見くんはもう帰って休んだほうがいい…」
「…いいえ!…俺も聞いていきます!!!」
「おっ!いいね~。
でも、長いぞ~?」
「いざとなったら白鳥の隣りで寝ます!!!」
「…お!?」
「…、いえ、さすがに怒られます…ね………。」
「…そうだ、話す前にこれを渡しておくね…。」
「これは………?」
「一見、ただの青い箱だけど、よく見るとここに…」
「鍵穴…がありますね…。」
「…それで、この箱を開ける鍵となるのが園歌ちゃんの首元にある………」
「…この首飾りなんですか!?」
「…そう、この首飾りはオルゴールが内蔵されている鍵なんだ。」
「……………、…。」
「園歌ちゃんが元気になったら、2人でこの箱の中をあけて欲しいんだ…。」
「…、2人で…?」
「その中には、君の…。
時見くんが俺に約束した答えが入っている…。」
「…でも俺、君主先生に約束を覚えていないんです………」
「…大丈夫。」
「…え?」
「それは君が園歌ちゃんに語りかければ見つけることができるから…。」
「…………………」
夜明けが始まった…
…アイツも見ているんだよな
この照らし出される…
…青い世界を。
ご拝読ありがとうございました。
続編「StudentsⅢ ―― a tale of the horizon―― 」に続きますので、よろしくお願いします。