表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
StudentsⅡ  作者: OKA
10/14

7:ゆるぎないモノ


…………………。

…そう。

届かせればいい…。

ただ腕を伸ばせばいいんだ。


躊躇ためらうことなんか無い。

宇宙そら彼方に届くわけがないだろう?

…わかっている。

それでも俺は届かせて見せる…。


いま俺と世界おまえは…感じている。

俺は世界おまえの遠い存在を。

世界おまえは俺の無力さを。

…でも俺は超える。


背伸びをして、歯を食いしばって、顔を赤くして…。

馬鹿だって何だっていい…。

俺には、俺たちには世界おまえに無いものを持っている。

世界おまえが知らない…ゆるぎないモノを。




















「今まで俺たちは希望にすがりつき、世界げんじつを受けいれていなかった。

 傷ついた自分を見るのが恐くて、悲しんだ互いの姿を見るのが嫌だった…。」

「…、………。」

「でも、傷ついて悲しまないと超えられないんだよ…。

 本当のアイツに会うには…な。」

「…、…。」

「間違ってたんだ。

 デタラメな希望よりも、ふざけた世界げんじつよりも、…大切なモノがある。」

「…………………。」











「俺たちとアイツの『約束』…。

 これだけはどんなものより…大切だ。」

「…君主………。」

「…だから、もう俺は進むぞ。」

「…、どこに行くの………。」

「…病室だ。」

「…………………。」











「…最後に一ついいか?長原…。」

「…ええ。」

「園歌ちゃんに、アイツの首飾りを渡したんだよな…?」

「………、…ええ。」

「…やっぱり、長原おまえも俺と同じ事を想っていたんだな…。」

「…私も……、そうかも知れない…わね…。」











「…綺麗だな。

 夜風はもう消えたな…。」

「…そうね。」

「…っ、あぁ~~~っ!!!」

「そんなに背骨が鳴るなんてよっぽど緊張してたのね…。」

「…かも…な。

 じゃ、俺は行くぞ…。」

「…待って!

 私も伸ばしてみるわ………。」

















親友かのじょも届きもしない月に向けて腕を伸ばしていた

いっぱいに伸ばされたその両腕の間から

輝く月にいつまでも瞳を預ける彼女が見えた

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ