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この世界を壊します〜魔王に転生したので配下を揃えて国作りをします〜  作者: JUJU


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黒き刃の鞭と、魔物という脅威

第6話です

宜しくお願い致します。

荒れ地を進むマランとザナドの足取りは、決して重くはなかった。

 むしろ、目指すべき道が定まったことで、以前よりも迷いが少なくなっている。


「……実は、我ら魔族には“住処”と呼ばれる集落がいくつかあります」


 歩きながら、ザナドが静かに切り出した。


「住処?」


「はい。大規模ではありませんが、誇りを持った魔族たちが自由に暮らす場所です。

 国としてまとまることは拒んでも、“誇りを守りたい”という思いは皆、心にあります」


 ザナドの言葉を聞き、マランはゆっくりと頷いた。


「つまり、そこへ行けば――」


「彼らを“ネザリアの民”として迎えられるかもしれません」


 ザナドの瞳が、淡く輝いている。

 生前は何も守れなかった青年が、今は“未来の国の民を迎えに行く”という意味を理解している。


「悪くない提案だ。行ってみるか」


「はい! ……ですが」


 ザナドが眉を寄せ、足を止めた。


 その瞬間――地面が低く震えた。


「――来ます!」


 ザナドがマランを後ろへ庇うように立つ。


 割れた岩の向こう、砂煙の中から巨大な影が姿を現した。


 


 


 


 《魔物まもの》――この世界に存在する最も純粋な殺意の塊。


 魔族と異なり、

 魔獣族と違い、

 精霊や龍のように自我を持つこともない。


 “塔の波動”で弱体化していない、数少ない脅威。


 姿は歪み、心核は濁り、

 ただ“食う・殺す・壊す”のみで動く災厄。


 避けるべき存在でありながら、

 遭遇すれば必ず戦わねばならない存在でもある。


 


 


 


 砂煙の中から飛び出したそれは――


《ガル・クローラー》

四つ足で地を這う巨大な獣。

頭は狼のようだが、口は裂け、裂け目からさらに眼が覗く。

全身は黒い甲殻に覆われ、尾はサソリのように曲がっていた。


「ガル・クローラー……!」

ザナドが低く唸る。


「魔物ってのは、ああいう奴か?」


「はい。理性皆無の獣です。魔族や魔獣族とはまったく違い、

 “会話が成立しない”どころか、“生物を見れば反射的に殺す”ような存在です」


 ガル・クローラーは喉を振動させながら雄叫びを上げた。


 キイィィアアアアァッ!!


 次の瞬間、砂を蹴り、弾丸のように突進してくる。


「マラン様……!」


「ん?」


「――生まれ変わった私の力。披露させてください」


 ザナドの表情は真剣で、迷いがなかった。


「本来私は“回復”を得意としています。しかし……」


 ザナドの全身に黒紫の魔力が巻き起こる。


「貴方に召喚されたことで、“攻撃”の力も手に入りました」


 ザナドが一歩前へ踏み出す。


「ご覧ください――我が新たな技を」


 その瞬間、空間が裂けた。


「《黒紐冥鞭こくちゅう・めいべん》」


 空間から現れたのは、四方八方に伸びる黒いオーラの鞭。


 ガル・クローラーが突進してくる。


 ザナドは腕を振り上げ――


「縛り上げろ!」


 バシャッ!!!!

 黒鞭が一斉に獣へ絡みついた。


 ガル・クローラーは咆哮を上げ、暴れ回る。

 しかし、鞭は強靭で、引きちぎることはできない。


「まだです――切り裂け!」


 ザシュッ!!

 ザシュッ!!


 鞭が斬撃のように鋭く変形し、獣の甲殻を切り裂いていく。

 肉片が飛び、黒い血が大地に散った。


 ガル・クローラーは苦痛に身をよじる。


「どうです、マラン様……これが――」


「ザナド!」


 マランの声が響いた。


「奴の尾だ!」


「ッ――!」


 ザナドが振り向いた瞬間、

 尾の先端が槍のように伸び、彼を貫こうとしていた。


 風を裂く音。


 瞬間――


「……させない」


 ザナドが低く呟くと、黒鞭が一斉に彼の背後へ展開し、

 盾のように絡み合って尾を受け止めた。


 ガンッ!!


 尾の衝撃を弾き返し、鞭が逆に締め上げる。


「――終わりです」


 バシュッ!!!


 最後の一閃で、ガル・クローラーの首が跳ね飛んだ。


 魔物は地面に崩れ落ち、血の匂いが広がる。


 


 


 


 ザナドは深呼吸し、マランへ向き直った。


「……お見せできて、光栄です。

 これが、貴方が魂を拾い上げてくださった“新たな私”です」


「悪くないな。いや――十分やれる」


 マランは満足げに頷く。


「攻撃もできるし、防御もできる。

 しかも回復スキルが本命か……いい戦力だ」


 ザナドは少し照れながら頭を下げた。


「ありがとうございます」


 マランは倒れたガル・クローラーの魔核へ手を伸ばす。


 黒い光がゆっくりとその心核から溢れる。


「《悪魔生成デモン・ジェネシス》……に使えるな。

 この魔物、魔力量だけは十分だ」


「持ち帰りますか?」


「ああ。丁度いい素材だ。

 いずれ、お前と俺の戦力強化に繋がる」


 マランが魔物の遺体に触れると、

 黒い魔力が包み込み、遺体は小さな球体となって手のひらに収まった。


「よし。次は――お前が言っていた魔族の住処だな」


「はい! あそこなら……きっと、我々の仲間になってくれる者もいます」


「行くぞ、ザナド。“国の民”を迎えに行く」


「はい、マラン様!」


 二人は荒れ地の奥へと歩き出す。


 その背に、黒い鞭の余韻がゆらりと揺れ、

 世界を変える小さな戦力が、確実に形を取り始めていた。

ザナドさん初戦闘シーンです。

因みにガル・クローラーはかなり強い魔物です。

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