地下に広がる―怒号
第47話です。
宜しくお願いします。
ネザリアの会議室に、緊張が走った。
地中族の衛兵ジバンが語った“サブマリア崩壊”の事実は、あまりにも残酷で、そしてあまりにも緊急性が高かった。
マランは深く息を吐き、立ち上がる。
「……作戦会議をしている時間はない。ジバンの表情を見ただろう。あれは――もう限界だ」
誰も反論しなかった。
その瞬間、ネザリアの仲間たちは皆、同じ決意を共有していた。
「今回向かうのは少数精鋭で行く。
俺、アークレイド、ザナド、キラ、メリーナの五名」
マランが言うと、メリーナは拳を鳴らし、キラは静かに刃の手入れをし、ザナドは真剣な表情で頷き、アークレイドは胸に手を置いて静かに誓った。
留守を任される面々――フェロー、マニア、シェリー、レイノルド、スミレ、モルック、ミランダ、ジャック、そして多くの魔族たちがマランを見つめる。
「心配するな。転移の魔石は持っている。有事の際はすぐ戻る」
フェローが腕を組み、力強く頷く。
「気を付けろよ……マラン。必ず戻って来い」
マニアも小さく拳を握った。
「絶対に……誰も死なないでね」
マランは微笑んだ。
「任せろ」
――地中族ジバンの案内で、地面へ潜る。
ジバンは地面に手を当てると、皮膚がじわりと変化した。
指は太く短くなり、甲羅のような硬い板が手の甲を覆う。まるで“モグラの爪”だ。
「地中族固有スキル――
《穿地潜行》です。
土も岩も、音もなく掘り進めます」
「すげぇ……!」
キラが目を輝かせる。
ジバンが地面を掘ると、地が静かに割れ、土が波のように左右へ流れる。
「皆さん、ついてきてください……」
その声は震えていた。
――地中深く。
あるべき“地底帝国”は、跡形もなかった。
本来ならば古代神殿を思わせる巨大な柱、大地を削って作られた広大な広場、自然の光を集光する魔道具が煌々と輝く美しい都市――。
その全てが破壊され、壁は砕け、住居は潰れ、地中族の誇りは粉々に踏み潰されていた。
マランたちは言葉を失った。
「なんだよ……これ……」
キラが信じられないというように呟く。
「ひどい……ここまで……」
ザナドが拳を握りしめる。
メリーナは眦を吊り上げ怒鳴った。
「ふざけんなよ……!! こんなの……やって良いわけがねぇだろ!!」
ジバンは膝をつき、唇を震わせた。
「こんな……私たちの国が……
サブマリアが……こんな……」
肩が震えていた。
アークレイドは静かに目を伏せ、吐き捨てるように言った。
「……純血騎士団。
また貴様らか。胸糞が悪い」
――さらに奥へ進む。
そこには――地中族たちが何十人も、何百人も横たわっていた。
重傷者、瀕死の者、動けない者……血の匂いが強く漂う。
そしてその中心部で――。
「ハハハッ! この肉いけるなァ!
焼くと香ばしいし、煮てもイケる!」
「おい、酒持ってこいよ! まだ生きてるやつの悲鳴聞きながら飲む酒は最高なんだよ!」
純血騎士団の男たちが鍋を囲み、楽しそうに談笑していた。
その足元には、倒れた地中族の子供。
「…………ッ!!」
ジバンが震える声を漏らした。
拳を握り、涙を堪え、叫びを押し殺す……しかし。
「お前ら……!!
一体……何をしているんだァァァァァ!!!!!」
地底を震わせるほどの怒号。
純血騎士団の男たちは振り向き、嘲笑した。
「なんだぁ? 生き残りか?」
「え、なにその髪型。モグラじゃん。キモッ」
「職務怠慢して逃げてたんじゃね?」
その瞬間――。
マランが一歩前へ出た。
いつもの静かなマランではない。
足元の影が――揺れていた。
「……お前ら」
その声は、冷たい。
「ウジ虫共の親バエに伝えろォ……」
純血騎士団の男たちが眉をひそめる。
「は? なんだよそりゃ――」
マランの瞳が燃えた。
「天敵が来たってなァ!!!!!!」
轟音のような叫びに、空気が震えた。
影が広がる――。
純血騎士団たちの顔が青ざめた。
――地底帝国サブマリア、その最深部。
地中族を救うための戦いが――
ここに幕を開ける。
モグラってホントに可愛いですよね…
一度でいいから、いや、何度でもウェルカム何ですけど生で見てみたいですね…




