地底帝国サブマリア、崩壊寸前
第46話です。
宜しくお願いします。
そこは、どれだけ地上が騒がしくとも揺らぐことのない、静寂の王国だったはずだ。
地中族の国──地下帝国サブマリア。
しかし今、その静寂は蹂躙されていた。
轟音。悲鳴。崩れる岩肌。
地中深くにまで響き渡る破壊音が、国そのものを軋ませている。
「ギャアアアッ!!」 「逃げろ!!」 「子供を守れぇ!!」
女、子供、老人。
誰もかれもが、泣きながら逃げ惑う。
そこには、人としての心を完全に捨てた者たちがいた。
──純血騎士団 第8席
バルド=カイゼル。
そして、その指揮下にある純血騎士団の精鋭部隊。
「ひゃははっ!! 走れ走れぇ!
地中族ってのは耐久が高いって聞いたけど……どれだけ痛めつけたら折れるのか、試してみたかったんだよなぁ」
バルドは片手で地中族の兵士を掴み上げ、壁に叩きつける。
鈍い音と共に兵士は崩れ落ち、動かなくなった。
「バルド様、抵抗はほぼ壊滅しました!」 「よっしゃ。じゃあ王の首、取りに行くか。
あのジヌシとかいう頑固ジジイ、どんだけ吠えられるか楽しみだぜ」
愉悦に満ちた笑みを浮かべながら、バルドは王の間へ続く巨大な通路を進む。
その道中でも、騎士たちが地中族を容赦なく踏みつけ、武器でなぎ払い、笑いながら蹂躙していく。
「弱体化してる相手なんて、楽しくねぇ!」 「だが抵抗する姿は見てて飽きねぇな!」
地中族の兵士たちも必死に立ち向かうが──
塔による弱体化の影響は甚大で、剛腕で知られる地中族の力は半分以下に落ちている。
「ぐっ……!」 「王を……守れ……!」
「あー? 何が“地底の守り手”だよ。
こんな雑魚じゃ人族様の相手にもならねぇよ」
バルドの拳が振るわれるたび、兵士が地面に沈む。
そして──ついに、王の間の巨大な扉が開いた。
玉座の前に立つのは、地中族の王──ジヌシ。
大柄な体を揺るがせながら、その鋭い眼光はバルドを射抜いていた。
その隣には、王の側近であるジンバルが立ち、剣を構えている。
「王よ〜? 貴方様の愚かな選択のせいで、このサブマリアはボロッボロですけど〜?」
バルドがヘラヘラと笑いながら入ってくる。
「……黙れ、人族の小僧が。
決められた量の魔鉱石は、毎年欠かさず納めている。
それ以上の要求など、聞く必要はない」
「あ〜あ、まだそんなこと言ってんの?
わかってねぇなぁ。
今、お前んとこの鉱石が必要で必要でたまらねぇんだよ。
“あの国”──ネザリアとかいう調子乗った連中とやり合うためになぁ」
王の眉がピクリと動く。
「やはり、そうか。
塔を破壊された。
お前たち人族の絶対的優位が崩れ始めているから、焦っているのだろう」
ジヌシ王の言葉に、バルドの顔から笑みが消えた。
「……テメェ、調子に乗んなよ?」
重圧が空間を押し潰す。
純血騎士団上位席にいる“怪物”の威圧が王の間に満ちる。
「たかが2本の塔が壊れたくらいで俺たちが揺らぐと思ってるんなら──大間違いだ。」
「ほぉ?」
「残り6本の塔がある。
そのうち1本は、“人族以外すべてを弱体化させる塔”。
──場所は公表されてねぇ、一番重要な塔だ。」
ジヌシの瞳が怒りで燃え上がる。
「卑劣な連中だ……!」
「そういうこった。
──ジヌシ王、そろそろ大人しくしてくれよ」
「断る!」
ジヌシが吼える。
次の瞬間、ジヌシとジンバルの前に、純血騎士団の兵がなだれ込む!
「王を守れぇッ!!」
「させんッ!」
ジンバルは必死に剣を振るうが、弱体化の影響で身体が思うように動かない。
「ぐっ……くそっ……!」
「ほらほら、抵抗すんなって!」
「ジンバル! 退くな、我が守る!!」
ジヌシが拳を振るうが──
「遅ぇよ」
バルドの蹴りが王の腹部をえぐり、巨体が後ろへ吹き飛ぶ。
「がはっ……!」
「王ッ!!」
ジンバルもまた複数の騎士に押さえつけられ、剣を弾き飛ばされた。
「おしまいだなぁ? サブマリアの王様よ」
バルドが嘲るように覗き込む。
「く……そ……」
そうしてジヌシ王とジンバルは拘束され、
地下牢へと引きずられていった。
荒れ果てたサブマリアの中心──
地下牢の鉄格子の前に座らされたジヌシは、天井の土壁を睨みつけながら呟いた。
「……ネザリア……聞こえるか……」
硬い拳を握りしめる。
「この悔しさ、屈辱……
人族の好きにはさせぬ……」
そして、暗闇の中で静かに目を閉じた。
「……ジバン……頼んだぞ……
──マランという魔王を、サブマリアに連れてきてくれ……」
地中族の王の願いは、
確かにネザリアへ向けて放たれた。
かなり個人的なんですが、車買いまして…
人生初です…!
でも、納期はかなり先になります。
9月に購入して1月と言われたので、待ち遠しいです。
ウキウキしながら待ってます。




