ネザリア、大転換期
第42話です。宜しくお願いします。
――精霊族弱体化の塔を破壊してから、一週間後。
ネザリアの大地は、これまでにないほどの活気に満ちていた。
塔の残骸は撤去され、周辺では新たな住居の建設が始まり、魔族たちの笑い声が行き交う。
かつて廃墟のように荒れ果てていたこの地は、今や“新生ネザリア”の象徴へと変わり始めていた。
そして――変わりゆくのは景色だけではない。
噂に惹かれ、遠方から“新しい国”へと期待を寄せる魔族たちが続々と集まり始めていたのだ。
「マラン様ぁ! 新しい魔族たちが、また列を作っています!」
住処の入り口でザナドが走り寄ってくる。
マランは少し驚きながらも頷いた。
「今日だけでも……どれほど来た?」
「ざっと……千は超えたな。
いや、今では千二百名近いと思う」
言われて見渡せば、焦燥と期待の入り混じる魔族たちの群れが、長い列をつくりながらネザリアに足を踏み入れていた。
幼い子供を抱いた者。
数十人規模の住処ごと移動してきた集団。
ただ一人、生き延びてきた“はぐれ魔族”。
――いずれも、生きるための場所を求めていた。
そしてその列の先頭には、五つの大きな住処のリーダーたちがいた。
堂々とした立ち姿の青年が、一歩前に出る。
薄い水色の髪を揺らし、冷静な眼差しでマランを見据えた。
「初めてお目にかかります、マラン=タン=リース殿。
私はレイノルド。北の大住処のものです。」
礼儀正しい口調の奥に、揺るぎない賢さを感じる。
「よろしく頼む。遠方から来るのも大変だったろう」
「……いいえ。あなたの行動が、私たちに“決断”をくれました。
魔族弱体化の塔を破壊し、精霊族の塔までも……
その功績は、他の住処にも光となったのです」
マランは静かに頭を下げた。
次に出てきたのは、桃色の髪をふわりとなびかせた女性。
目元には泣きぼくろがあり、どこか柔らかな雰囲気を纏っている。
「私はスミレ。遠くの住処から、みんなで来たよ。
旅の途中で人族に見つかりかけたけど……なんとかね!
本当に、ネザリアの皆に会えてよかった」
明るくて柔軟な空気に、周囲も自然と笑みがこぼれる。
続いて、小太りで丸メガネをかけた男性――モルックが、ぺこりとお辞儀した。
「も、モルックと申します……。
わ、我らの住処は……争いごとが苦手な者ばかりで……。
でも……さすがにもう……人族に怯えて生きるのは嫌で……」
その震える声には、長い恐怖と、ようやく見つけた「希望」が滲んでいた。
マランは優しく微笑んだ。
「ここは……もう恐れなくていい。
ネザリアは、誰にも踏みにじらせない」
続いて前へ出た女性は、黒髪のセミロングに派手な顔立ち。
どこかサバサバしていて、周囲の空気を切り拓くような強さを持っていた。
「ミランダよ。アンタらのやった事……最初は驚いたけどさ。
精霊族の塔までぶっ壊すなんて、なかなかやるじゃん?
気に入ったよ、その動き。だからうちの住処も乗るわ」
率直で気持ちのいい言い方に、マニアが笑顔で手を振った。
「ミランダさん、よろしくね!」
そして最後の一人――
筋骨隆々の男が豪快に笑って前に出た。
「ジャックだ!
昔うちの住処にはフェローが居たが……
まさか復活して帰ってくるとはな! あいつが言うなら間違いねぇ!
今日から俺たちもネザリアだッ!」
ジャックの声量に思わず周囲がビクッとする。
その横でフェローがどこか照れ臭そうに腕を組んでいた。
五つの大住処が加入し、ネザリアの人口は一気に倍以上へ膨れ上がった。
この国は今――転換点の真っただ中にある。
そして、マランは皆を見渡し、静かに口を開いた。
「これだけの仲間が増えるとなれば……
ネザリアを本当の“国”として整える必要がある」
するとスミレが肩を上げる。
「役職とか、方針とか、そういうの考えなきゃってことだね?」
「ああ。これまでの規模では回らない。
大所帯を支えるための体制が必要になる」
レイノルド、ミランダ、ジャックたちも頷く。
「賛成だ」
「みんなで作り上げる国……悪くないね」
「言ってみろ、何でも手伝うぜ!」
マランは深呼吸し、宣言する。
「――明日、全リーダーと主要メンバーで会議を開く。
ネザリアの未来を形作るために」
こうして、国としての第一歩を踏み出す大規模な会議が決まった。
夕刻の空に、新生ネザリアの旗が風に揺れていた。
仲間は増え、力は整いつつある。
だが――マランの胸には、まだ終わらない戦いへの覚悟が灯り続けていた。
そしてその夜、ネザリアは静かに――しかし確実に、新たな時代へ動き出した。
前話で答えきれなかった好きなアニメ答えます。
「ワールドトリガー」「ハイキュー!!」
「僕のヒーローアカデミア」「魔法使いの嫁」
「王様ランキング」「SPYFAMILY」などなど
上げだしたらキリがないですね…




