帰還、そして再会
第41話です。宜しくお願いします。
精霊族弱体化の塔が完全に崩落し、静寂が訪れた。
砕けた巨大な魔石の残骸が淡く光を放つ。
空気には澄み切った清浄な風が流れ──その風に乗って、精霊族たちの身体から抑圧がほどけていく。
「……身体が、軽い……!」
「魔力の巡りが戻っていく……!」
精霊族女王直属騎士団が次々と歓声をあげる。
ガラルは深く息を吸い込み、肩を震わせた。
「信じられない……本当に……取り戻せた……」
エミリアは跳ねるようにマニアの腕を掴む。
「すごいよ! マニアちゃん! 本当に塔を壊しちゃうんだもん!」
「えへへ……まあ、マラン様が全部やったんだけどね!」
ネザリアの面々も、精霊族も、種族の垣根なく抱き合い、笑い、涙を流していた。
精霊宮殿内でも女王エルフィリアは胸に手を当て、瞳を潤ませた。
「……戻った……私たち本来の力が……」
マランは瓦礫越しに広がる地形を見渡し、静かに呟いた。
「……ここを、新たなネザリアにする」
ザナドが驚いたように顔を向ける。
「ここを、ですか?」
「広さもある。建物もそのまま使える。
精霊族の森も近い。国交を結んだ今、これ以上の立地はない」
シェリーが柔らかく微笑む。
「ふふ……確かにね。発展しやすい場所よ」
メリーナは大きく腕を伸ばし、声を張りあげた。
「いいじゃねぇか! 広いし鍛錬にも向いてる!」
マニアも嬉しそうに頷く。
「うん! ここならお父さんも安心だと思う!」
……その言葉に、
マランの瞳に強い光が宿る。
「……そうだな。フェローにも……見せてやろう」
塔の崩落で放出された巨大魔石。
そして、丁重に保存していたフェローの遺体。
マランは静かに両手をかざす。
黒と紫の魔法陣が地面に広がり、空気が震える。
「……《悪魔召喚》」
魔法陣が閃光を放ち──塔の魔石が砕け、光の粒子となってフェローの身体へと吸い込まれていく。
ネザリアの皆が固唾を呑む。
マニアは胸元で両手を握り締め、震えていた。
「……お父さん……」
黒い光が収束し──影が立ち上がる。
ゆっくりと、ゆっくりと、
──フェローが立ち上がった。
肌に淡い紋様が浮かび、背に黒い瘴気のような微粒子が揺れる。
しかしその姿は紛れもなく、あの逞しく温かいフェローだった。
「……ここ、は……?」
彼の声に、マニアは堪えきれず駆け出す。
「お父さんっ!!!」
フェローは驚きながらも、しっかりと娘を受け止めた。
「……マニア? ……どういう……いや、これは……」
フェローは自分の胸に刻まれた魔紋を見つめ──そしてマランへ視線を向ける。
「……マラン殿。お前が……俺を……?」
マランは静かに頷く。
「お前を……そして死んだ仲間たちを、全員連れ帰った」
その背後では、次々と魔族たちの身体が光をまとい、復活を果たしていく。
涙を流しながら互いに抱きしめ合う者たち。
声を上げて喜びを分かち合う者たち。
フェローは胸に込み上げる感情を抑えきれなかった。
「俺は……戻ってこれたのか……!
こんなにも……この場所に……!」
マニアはさらに腕を強く回す。
「お父さん……会いたかった……ずっと……」
フェローは娘の頭をそっと撫で、目を細めた。
「……守れなくて、すまなかったな。
でも……俺は、もう一度やれる。次は……絶対に守る」
マランは一歩前に出て、確かに言った。
「フェロー。もう一度……共に歩こう。
ネザリアのために。お前の大切な娘のために」
「……ああ。必ずだ」
その夜。
フェローとマニアは小さな焚き火の前に座っていた。
どちらも笑顔で、時折涙を浮かべながら。
「それでね、お父さん。みんなで畑を作ったり……
あと、マラン様の新しいスキルがすごくて!」
「ほう……それは興味深いな」
「うん! それで──」
楽しげな声が夜空に溶けていく。
その光景を遠くから見ていたマランは、静かに目を閉じた。
──フェロー。
遅くなったが、必ず……これからは守る。
そう強く胸に誓った。
皆さんは好きなアニメや漫画はありますか?
私は、異世界物だと「転生したらスライムだった件」
はやっぱり大好きです。
後は、全然違うジャンルですが宇宙兄弟も大好きです!




