覚醒、反撃の刻
第38話です。宜しくお願いします。
――塔前の荒野に、怒号と爆音が木霊する。
各戦場はすでに熱を帯び、だが“勝負”そのものはまだついていなかった。
しかし、それは “ここまで” の話。
今、味方側が――
その本気をついに解放する。
〈ガラル・エミリア・精霊族騎士団 vs 魔導砲部隊〉
魔導砲兵たちは必死に魔力を流し込み、砲身を震わせていた。
「撃てぇぇぇぇッ!!」
無数の光線が豪雨のように降り注ぐ。
しかしそのすべてが――
“風の壁” に吸い込まれて消えた。
「ここからは……我々が見せる番です」
ガラルの瞳が、淡い碧色に輝く。
《風王障壁》
風の精霊が呼応し、防壁は巨大な半球へと形を変える。
「兄さん、いくよっ!!」
エミリアが弓を構え、矢に魔力を纏わせる。
《風精霊連射》
放たれた矢は空中で数十本に分裂し、
魔導砲兵たちの手元・砲身・魔力核を正確に射抜く。
「う、動かねぇ!?」「魔導砲がッ……爆発する……!」
瞬間、砲身内部で魔力が暴走。
ドガアアアン!!
次々に魔導砲が自壊し、部隊は混乱に陥る。
そこへ――
精霊女王直属騎士団が踏み込んだ。
「ガラル殿、後衛は任された!!」
「心得た。前方をまとめて吹き飛ばす!」
ガラルが一歩進んだ瞬間、風が荒れ狂い渦となる。
《王嵐断層》
嵐そのものが刃となって兵を巻き上げ、荒野に叩きつけた。
数十名が一度に戦闘不能。
エミリアが最後の一矢を放つ。
「みんな……あなたたちの痛みは、私たちが終わらせる!!」
光のような風矢が地面を滑り、
逃げようとした最後尾の兵を両脚から撃ち抜いた。
魔導砲部隊――壊滅。
〈キラ&メリーナ vs 下位騎士50名〉
「やっと本気出せるね……メリーナ」
キラが静かに笑う。
しかしその笑顔の奥で、瞳が“尖っている”。
この二人は、まだ“様子見”だった。
「おう、キラ。そろそろ暴れたくてウズウズしてたところだ!」
メリーナは拳を握り、筋肉が音を立てて膨張する。
《戦果蓄積》
倒した数が増えるほど、身体能力が跳ね上がる――
すでに数十人撃破している彼女の筋力は、まさに怪物。
「囲め! 数で押せ!」
騎士たちが剣を掲げ突撃。
メリーナが一歩踏む。
大地が砕けた。
次の瞬間、
50名のうち7名が吹き飛んだ。
「は???」
下位騎士の顔が驚愕に染まる。
「遅いぞォ!!」
メリーナの拳が雨のように降り注ぎ、
人の形を保つのが奇跡なほどの衝撃が走る。
キラはその隙に獲物へ近づく。
「うん……みんな。ゴメンね。」
笑顔のまま、背中からナイフが溢れ出す。
《千刃生成》
無音で、鋼の刃が空間を覆い尽くす。
「!? う、動け――」
「じゃあ……眠っててね?」
キラは優しく言いながら――
刃で彼らの武器だけを的確に破壊し、腱を切り、意識を刈り取った。
優しい笑顔のまま、容赦がない。
数分後。
下位騎士50名、全員戦闘不能。
メリーナは頬の汗を拭いながら言う。
「……なぁキラ。もうちょい手加減した方が良かったか?」
「え? すごく優しくしたけど?」
「……そ、そうか」
メリーナは思わず背筋が震えた。
〈シェリー vs 高位騎士カルロ〉
カルロは全身に重装甲を纏い、大剣を握りしめていた。
「毒なんぞで俺を倒せると思うなよ、魔族ォ!」
シェリーは、薄く微笑む。
「あなたみたいなの、昔なら大好物だったのに……ね?」
その声は甘いが、瞳の奥は冷たい。
カルロが斬りかかる。 大地を割る一撃。
しかし――剣が届く前に、
カルロの手が震え始めた。
「な……に、これ……?」
「もう吸っちゃったのね。
……私の“呼吸毒”、ほんの少しよ?」
そう。戦闘が始まってからずっと。
シェリーは彼の周囲の空気に、微量の毒素を混ぜていた。
「がっ……は……っ」
カルロの視界が揺れる。
シェリーは指先を舐めた。
「じゃあ――本気を出すわね?」
《魔毒式・死蝶揺乱》
シェリーの髪がふわりと舞い、毒の蝶が空中に無数出現する。
「近寄るな……!!」
カルロは震えながら剣を振るい、蝶を斬り払う。
だが――
斬った蝶は毒霧となり、
カルロの肺を、皮膚を、体内を焼く。
「ぎゃああああああッ!!!」
悲鳴が荒野に響く。
シェリーの表情は変わらない。
「……あなた達、人族がどれだけの魔族を殺してきたか。
その“少しの痛み”だけは、ちゃんとわかってほしいの」
毒の蝶がカルロを包み込み――
重装騎士はついに膝をついた。
そして倒れ込む。
「あなたには死なせないわ。
あなたの“情報”……あとで役に立つもの」
シェリーは毒を収め、静かに息を吐いた。
カルロ、敗北。
いやー、やっぱりシェリー良いですよね…
最近あんまり活躍回を描けてなかったんですけど、
カッコいい…。
皆さんは好きなキャラクターとかありますか?




