試練の最終層へ
第29話です。
宜しくお願いします。
●5階層――第二次メンバー
岩盤がむき出しになった広間に、獰猛な樹木の魔獣たちが根を蠢かせながら迫る。
――《樹魔獣ツリーブロッサム》。
腐った枝のような腕を伸ばし、触れたものを腐食させる厄介な魔物だ。
「植物型か……面白いですね」
エラルドがメガネをくいっと押し上げる。
「じゃあ、まとめて落としてやるよ」
アークレイドが空間を指先で裂いた。
「《次元断裂ディスラプト・レイン》」
黒い“切断の雨”が降る。
空間そのものが細かく割れ、ツリーブロッサムは悲鳴を上げる間もなく寸断された。
「やっぱアークレイド殿は桁違いだなぁ!」
キラが笑いながらも、ぞくりとした顔で言う。
「油断するな。まだ動くやつが残っている」
マランが影を走らせ、わずかに生き残った個体を一閃で貫いた。
●6階層――霧の魔物との集団戦
辺りは濃霧に包まれ、視界はほとんどゼロ。
霧がうねるたび、暗い影が複数の方向から襲いかかる。
「本体が……見えません!」
「任せろ、《千刃生成ミリアド・ナイフ》!」
キラが両腕を広げると、空間から大量のナイフが生成された。
霧の中に投げ込むたび、刃は硬度を増して鋭く輝き、霧を断ち切りながら“空間そのもの”に道を作っていく。
「ふむ……視界が開けた。マラン様!」
「ああ。――《影牙刃シャドウ・ファング》」
影が牙のように伸び、霧の魔物の中心を正確に貫く。
霧が消え、広間が再び静寂に包まれた。
「順調ですね」
「この調子なら……本当に最深部まで行けそうだ」
転移魔石が発光し、四人はネザリアへ戻る。
「マラン様! 頼りにして下さい!」
「よし、任せた。次はお前たちの番だ」
第1次メンバー――ザナド、シェリー、マニア、メリーナが前に進み出る。
「行ってくるね、マラン!」
「お手並み拝見といきましょうか」
「よーし! 暴れるぞ!!」
「……気を付けて行け」
マランの言葉に四人は頷き、転移魔石が再び光を放つ。
●7階層――“石化魔眼”の魔獣
階層に入った瞬間――空気が重く固まった。
巨大な蛇のような魔獣が、とぐろを巻いて睨みつけてくる。
――石化の魔獣。
「気を付けて! あれ、目が危ない!」
マニアが叫ぶ。
しかしザナドがすでに目を開いた。
「《魔眼診断アナライズ・アイ》!」
魔獣の魔力流れが視界に浮かび、石化の発動条件が見えた。
「目を閉じている時は石化を使えません! メリーナさん!」
「任せな!!」
メリーナが地を砕く勢いで踏み込み、拳を魔獣の顔へ叩き込む。
石の鱗が割れ、ガルゴバイトが悲鳴を上げる。
「やっぱ暴れるの最高ッ!」
●8階層――地底湖の戦い
広大な湖の上に浮かぶ足場。
音もなく水面から飛び出すのは――《湖魔獣サーペンティア》。
「水中から来るよ!」
マニアが跳ねて足場を飛び移りながら叫ぶ。
「《双影脚》……いっけぇぇ!!」
飛び蹴りの衝撃で水柱が立ち、隠れていた魔獣の顎を蹴り砕いた。
「ふふ……水でもしっかり動けるのね、あなた」
シェリーが毒の霧を放ち、湖へ広がる。
サーペンティアが苦しみながら次々と浮かび上がった。
「今だ、ザナド!」
「はい――《影涙鞭シャドウ・ウィップ》!」
鞭が水を切り裂き、魔獣たちを一掃した。
●9階層――“影分裂型”の強敵
霧の薄いホールに現れたのは、黒い影の塊。
形を変え、分裂しながら襲ってくる。
「なんだこれぇ!? 気持ち悪い!」
「本体以外は攻撃しても意味がありません!」
ザナドが叫ぶ。
「じゃあ……毒で動きを鈍くするわ」
シェリーが《毒殿抱擁トキシック・エンブレイス》を展開。
複数の分身が鈍り、影の揺れ方に微妙な差が生まれる。
「……あれが本体!」
「了解!!」
メリーナが影本体に拳を叩き込み、跡形もなく破砕した。
全階層を突破し、魔石でネザリアに戻ると――
「皆さん、おかえりなさい!!」
エラルドが転移魔石を抱えて駆け寄ってくる。
「魔石の探知範囲……10キロまで広がったんです!
そして……ダンジョンは“10階層が最終層”だと判明しました!」
「最終層……」
メンバー全員が緊張した面持ちになる。
夜、温かい食事を囲みながらも空気は張り詰めていた。
皆、確かに強くなった実感がある。
だが最終層には――“何か”がいる。
「……行くべき時が来たようだな」
マランの言葉で場が締まる。
「今回――俺とアークレイドは残る」
マランの声に全員が驚く。
「10階層は……お前たちで行け。
強くなったお前たちの力を、証明してこい」
その言葉に6人の目が決意の色を帯びた。
◆ 10階層へ向かう6名
・ザナド
・シェリー
・マニア
・メリーナ
・キラ
・エラルド
「任せて下さい、マラン様」
「ふふ……やっと本気が出せそうだわ」
「絶対に勝つ!」
「ぶっ壊すぞぉぉぉ!!」
「傷つけられた仲間の分……全部、返す」
「分析……完璧にしてみせます!」
エラルドが魔石を構える。
「転移――開始します!」
光が6人を包み、10階層へと送り出した。
●10階層――最終層
闇そのもののような空間。
瘴気と圧力が皮膚に刺さる。
まるで“生きたダンジョン”に飲み込まれているような気配。
「……これは、今までの階層とは桁が違います」
ザナドが低く呟く。
「ねぇ……すごいわね。ああ、こういうの……大好き」
シェリーの目が妖しく光る。
「ようやく本気で殴れる相手が来たってわけだな……!!」
メリーナの拳が震える。
「ネザリアを傷つけるやつは……全部、斬り捨てる」
キラの目が細く鋭くなる。
「マラン様……見ていてください」
エラルドが震える指先で魔力を込める。
「負けないよ……絶対に……」
マニアが拳を握りしめた。
その時――
奥の闇が、ぬらり、と動いた。
巨大な影がこちらを睨みつける。
空気が弾けるような衝撃。
「来る――!!」
6人が全員、同時に構えた。
昨日、今日、そして明日と忙しく投稿があまり出来ないと思います。
昨日は何とかストック分を使って投稿したのですが、
今日は恐らく1話しか投稿出来ないと思います。
すいません。




