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この世界を壊します〜魔王に転生したので配下を揃えて国作りをします〜  作者: JUJU


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22/50

精霊の森の休日、そして――届いた叫び

第22話です。宜しくお願い致します。

セイレーン宮殿での会談が終わると、エルフィリア女王は静かに立ち上がり、柔らかく笑んだ。


「今日は長旅で疲れたでしょう。宮殿と森を、わが精霊族の“案内役”に任せます。

 ――エミリア、皆様をご案内して差し上げて」


「はっ、はいっ!! お任せくださいっ!」


 元気よく飛び上がったエミリアに押される形で、マランたちは宮殿の外へと出た。


◆ ◇ ◆




「わぁぁ……すっごい……!」


 マニアが目を丸くする。


 そこに広がっていたのは、小さな精霊たちがふわふわと飛び交う幻想的な世界だった。


 青い光の粒、葉っぱを模したような羽根の精霊、空気の流れそのものが生き物のように動いている。


「すごい……自然の魔力が生きてるみたいだ……」


 ザナドも思わず感嘆する。


「精霊の森は、世界樹の根から魔力が流れているの。

 だから草も木も、普通のより元気なのよ!」


 エミリアは得意げに胸を張った――が、次の瞬間、


「ほあぁっ!」


 飛び上がった拍子に頭上の枝にぶつかり、葉っぱをぶわっと落とした。


「……やっぱりおっちょこちょいだな」


 アークレイドがため息をつく。


「う、うるさいな! あんたの翼だって前はボロボロだったじゃない!」


「悪魔になった今は完璧だが?」


「むぅぅ……!」


 シェリーはクスッと笑いながら、甲殻の羽をカチカチ鳴らす。


「まぁまぁ、仲良くなさいな、坊やたち」


◆ ◇ ◆




 次に案内されたのは、広大な畑だった。


 普通の畑ではない。


 土は魔力を帯び、ふわふわとわずかに浮いている。


 作物から漂う香りは、生命力そのものだった。


「こ、これ全部……精霊族が?」


「そうだよ! 作物ってね、風と水の流れ、魔力のバランスを読んで育てるんだよ!」


 エミリアは両手を広げると、畑全体にそよ風を走らせた。


 すると作物たちが一斉に揺れ、まるで答えるように葉が震えた。


「……すごい」


 シェリーが目を丸くする。


「自然と会話してるみたいですね……」


 ザナドも思わず感心した。


「私、ここの作物……全部食べてみたい!!」


 マニアが両手を胸に当てキラキラしている。


「マニア、仕事を忘れるなよ」


 マランが苦笑する。


「むぅ……でも料理長として研究しないといけないし……!」


 その言葉にエミリアはぱぁっと笑顔になった。


「じゃあこれ! サービスで一つあげる!」


 エミリアが風を操り、珍しい果実をマニアの手のひらにふわりと落とした。


「きゃあっ! ありがとエミリア!!」


「えへへ~!」


◆ ◇ ◆




 夜、精霊たちが魔力の光で飾りつけた広間には、温かく優しい食事が並んでいた。


 マニアは興味津々で料理を研究し、


 シェリーは意外にも甘い菓子に目を輝かせ、


 ザナドは静かに茶を飲み、


 アークレイドは慣れない精霊食を恐る恐るつつき、


 マランは一人ひとりの楽しそうな姿に微笑んでいた。


 まるで――久しく忘れていた“平穏”がそこにあった。


◆ ◇ ◆




 翌朝、再び謁見の間へ案内される。


「改めて……精霊族はネザリアとの国交を結びます」


 エルフィリアの言葉に、マランは深く頭を下げた。


「こちらこそ感謝いたします」


「農業技術の提供と、貴方方からの薬草・毒素材の供給……

 双方に利益があります。これが、良き縁となりますように」


 エルフィリアの指先からふわりと光が舞い、国交を示す魔法印が契約として刻まれた。


◆ ◇ ◆




 契約の光が収まった瞬間だ。


 マランの胸に、凄まじい衝撃が走った。


 怒り。


 憎しみ。


 悲しみ。


 恐怖。


 それらが混じり合った感情が、刃のようにマランの心に突き刺さる。


 ――フェローの感情だった。


「……フェロー……!?」


 マランの額に冷たい汗が流れる。


 ザナドもすぐに異変に気付き、顔を強張らせた。


「マラン様……フェローの……!」


「……何かが……起きた」


 ただならぬ圧が胸を揺さぶる。


 息が詰まるほどの恐怖と怒りが流れ込んできた。


 マランは精霊族の皆へ深く頭を下げた。


「――申し訳ない。ネザリアへ急ぎ戻らねばならない」


 エルフィリアが眉を寄せる。


「何が……?」


「フェローに、何かあった。

 あの男がこんな感情を流すはずがない……!」


 マランは迷わず立ち上がり、


 ザナド、シェリー、アークレイド、マニアも即座に続いた。


「マラン様、急ぎましょう!」

「全速で飛びます!」

「案内するわ!」

「兄さん、後は任せて!」


 精霊族との友好を結んだ直後に突きつけられた――

 “ネザリアの危機”。


 マランは、凄烈な殺気を帯びて呟いた。


「……誰だ。

 フェローに……俺の仲間に手を出したのは――」


 影が轟き、マランたちは精霊の森を駆け抜けた。


 ネザリアで何が起きているのかは、まだ誰も知らない。


 だが――

 影王の怒りは、すでに世界を震わせ始めていた。



---


何やら不穏になってきました…

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