表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この世界を壊します〜魔王に転生したので配下を揃えて国作りをします〜  作者: JUJU


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/50

ネザリア、はじめての宴

第16話です。

宜しくお願い致します。

塔が崩れ落ち、その衝撃で森の魔力が震えた日の夜。


 フェローの住処――いや、“ネザリアの一時拠点”として使われている洞窟に、久しく聞かなかった活気が満ちていた。


「かんぱーい!!!」


 杯や木の器が一斉に掲げられ、洞窟の天井に響く歓声。


 魔族たちの宴は、控えめになど終わらない。


 火を囲みながら、豪快に、騒がしく、しかし温かく。


 それは、誰もが生きてこの瞬間を迎えられたことが嬉しくてたまらない――そんな夜だった。




「マラン様ぁ。はい、あーん♡」


「しなくていい」


 シェリーが大人の色気を全開にして焼き肉の串を差し出してくる。


 甲殻に覆われているくせに、妙に艶っぽい笑みを浮かべるのが反則だ。


「ええぇ〜? せっかく私が焼いたのにぃ? 美味しいですよ? きっと虜になっちゃいますよ?」


「……食べるから近づくな。熱い」


「ふふ、照れてますわね?」


 シェリーが嬉しそうに揺れるたび、甲殻がカチッと音を立てて光る。


 そのたびに向かいのザナドの眉がピクリと跳ねた。


「……マラン様への接触が多すぎませんか、シェリー」


「あら、嫉妬? かわいいザナド」


「嫉妬ではありません。警戒です。あなたは距離が近すぎます」


「私は主に忠誠を捧げているだけよ? あなたもやれば?」


「やりません!!」


 ザナドが耳まで真っ赤になって否定する。

 その様子を見ていた魔族の若者たちが「ザナド様かわいい……」とひそひそ囁く。


 ザナドの威厳は守られるのか心配である。




「はっはっはっ! 見ろマニア、これが我が娘を救ってくれた恩人たちだぞ!!」


「フェロー、声が大きいよっ!!」


 フェローは酒樽をまるごと抱えて陽気に笑っている。


 荒々しい見た目に似合わず、宴会になると妙に親分肌が増す。


「マラン殿! 今日の働き、見事であった!!


 塔が砕け落ちた瞬間、我ら魔族の血がもう一度燃え上がった!!」


「……まあ、悪くはなかったな」


「照れているな?」


「照れてない」


「照れてる」


「照れてない」


「はい、2人ともそこまで」


 マニアがため息をついて仲裁に入る。


 娘が一番冷静なのがこの親子である。


「でも、本当に……ありがとう、マランさん。


 あの塔が壊れたとき、身体の奥からポッと力が戻ってきた気がしたんだ。


 多分、他のみんなも……ずっと、こんな日を夢見てたんだと思う」


 マニアは涙を浮かべながら笑う。


 その姿を見て、フェローの目頭が赤くなった。


「マニア……ぐっ……! 父は……父はなぁ……!」


「泣かないで!! 恥ずかしいから!!」


「泣いておらん!! 筋肉に酒が染みただけだ!!」


「それただの酔っ払いだよフェロー!!」


 周囲の魔族たちが大笑いする。


 宴はますます賑やかになっていく。




 その中で、マランは少し離れた場所で、火を見つめていた。


 シェリーもフェローもザナドも、皆が自分の周りで笑っている。


 ――こんな夜が、自分に訪れるとは思わなかった。


(……悪くないな、こういうのも)


 ふと視線を感じると、


 ザナドが静かに歩み寄ってきて、隣に座った。


「マラン様」


「なんだ」


「……みんな、あなたのおかげで笑えています。


 私も……同じです」


「……そうか」


「はい。


 この世界を壊し、新しく作り変える。


 私はその道を、あなたと共に歩めて誇りに思います」


「……お前は時々、真っ直ぐすぎるぞ」


「な、なにか変なこと言いましたか!?」


 ザナドが耳を赤くすると、マランは珍しく小さく笑った。


「いや……悪くない」


 その瞬間、遠くから歓声が上がる。


「マラン様〜〜! こちらに来て飲みましょう〜〜!」


「マラン殿! 娘があなたと踊りたいと言っておるぞ!!」


「行きましょう、マラン様。逃げられませんよ」


 引っ張られるように立ち上がると、洞窟は温かい光に包まれていた。


 火の粉が弾け、笑い声がこだまし、腹を抱えて笑う魔族たちがそこかしこにいる。


 それは――奪われてきた笑顔が、ようやく取り戻された夜だった。


(……必ず壊す。


 こんな時間を奪ってきた、この世界の全ての“歪み”を)


 マランは静かに拳を握りしめる。


 その決意の横で、ザナドが微笑んだ。


「ネザリアの始まりとして……最高の夜ですね」


「……ああ。


 ここからだ」


 火を囲みながら、仲間たちの笑い声が響く。


 この夜を――二度と奪わせないために。


 そして、ネザリアの物語は、ここからさらに本格的に動き出す。



---

やっと1つ塔が破壊されましたね。

後、7つも塔あるの大変…

人族はなんて量作ってくれてるのやら…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ