第23章「家康、牙を剥く」
ヤタガラスの爆散から三日。焦げ跡と鉄片の残る戦場跡を見下ろしながら、《鋼ノ浮城》の司令室では、氏治と信長が新たな作戦会議を開いていた。
「家康の本拠、駿府城は堅牢だ。が、問題はそこじゃねえ」
氏治が映し出したのは、空撮による衛星風の地形図。その中央に奇妙な黒い影が映っている。
「これ……なんだ?」
信長が目を細める。
「移動要塞だ。多分、俺たちの《鋼ノ浮城》を見て、家康も似たようなものを作ってたんだ。名前は……《黒母艦・くろぼかん》。解析中だが、全長400メートル、地下式の格納口付き、さらに……」
氏治は別の映像を切り出した。そこには、奇妙な義体兵たちが行進している。
「機械兵……?」
「いや、人間だ。たぶん、家康が捕虜や孤児を使って義肢化、強化改造した“強化士卒”。倫理もへったくれもねえ……」
信長はしばらく沈黙していたが、やがて、低く呟いた。
「……許せぬ」
その言葉に、氏治も頷く。
「俺の科学は、世界を壊すためじゃない。守るために使う。だからこそ、徳川の暴走は止める」
そのとき、通信士が慌ただしく駆け込んできた。
「大将! 東方の海岸線にて異常発光! 敵機、こちらへ接近中です!」
「もう来やがったか……!」
氏治はすぐさま《飛竜・改》の発進準備を命じた。
《鋼ノ浮城》の甲板が開き、次々と武装飛行兵器が出撃する。空には、黒煙の尾を引く無人戦闘機――家康軍の自律兵器が迫っていた。
「試してきやがるな……!」
氏治は《飛竜・改》で出撃し、先頭を切って敵陣に突入した。
「これより、対徳川制空戦を開始する!!」
空中で火花が散り、鋼がきしむ。新たな戦争が、空で始まった。




