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五大統治都市シリーズ

四季の亡霊

 2学期が始まって。俺のコンタクトがバグった。

 色だけが#ced1d3(スカイグレー)に固定され、初期化も上書きもできない。

 他の機能は正常だしまあいいかとバイトに行くと。

「おや。はくろ君、目の色変えた?」

 速攻で店長に気付かれた。


「いや、なんか色がバグっちゃって」

「そうなんだ。なんか鶺鴒(セキレイ)みたいで良い色――ああ。だからか」

 なんか一人で納得してコーヒー豆の瓶を手に取った。

「え。原因分かったんですか?」

「この国にはね、1年を24、または72に分割した名称があるんだ」

「?」

 突然何の話かと思ったけど、店長のことだ。地球歴制定以前(むかし)の話だろう。

「昔の人、そういうの好きですよね」

「移ろう季節と歴史を愛する人達だからね。それで、今の時期をそれぞれ白露、鶺鴒鳴(せきれいなく)と言うんだ」

「白露……」

 俺の名前だ。店長は頷くように目を伏せ、ガリガリと豆を挽く。

 人工香料じゃない、本物の香りが漂う。

「つまり、君の名前に共鳴した何かが引き起こしたバグ――そうだな。僕達が忘れかけてる景色を思い出して欲しいっていう、四季の亡霊(ゴースト)の仕業」

亡霊(ゴースト)……」

 当たり前のように出た非科学的な単語を呟くと、店長は楽しそうに笑った。

「どう。非科学的で良いでしょう?」

数日経ったら直った。

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