見覚えのある顔(短篇)
6月6日にある殺人事件が起きた。被害者は68歳の男性で、犯人はまだ捕まっておらず未だ捜査中らしい。
警察は犯人の特徴を身長170cm代の黒いパーカーを着た人物と公表した。事件現場にはある手紙が残されていた。その手紙の内容は「6月20日にテロを起こす」という内容で場所や日時は書かれていなかった。そして今日はその日だ。もちろんテロの可能性があるのでスーパーもコンビニもやっていない。こんな日に外に出歩いているのは俺くらいだろうと思いながら街を散歩していた。外には警察が沢山いたが、こんな状況で1人で出歩いてるところを見られると明らかに怪しまれるので避けて通った。
俺には家族が居ない。父親は俺が幼い頃に離婚していなくなり、母親はある事件の犯人として逮捕され、今では刑務所の中である。所謂濡れ衣を着せられたというやつだ。それ以来警察を信用したことはない。面会で母親は俺に「許してね」と言った。その言葉がどんな意味を含んでいたのかは分からない。だが、その言葉が呪いのように俺につきまとい離れなかった。きっとこれから永遠に犯罪者の子として仕立て上げられ、周りの目を気にしてビクビクしながら過ごしていくんだろう。
犯罪者の子として周りから非難されるならどうせ自分も犯罪者として扱われた方が楽だ。さて、上手く警察もおびき出せた様だしそろそろ潮時だろう。俺は重い腰を上げ、警察の前に姿を現した。見覚えのある顔が1人いた。
読んで頂きありがとうございました。自分は小説を書くこと自体がほぼ初めてなのですが、小説を書きたいという想いは強いです。倒叙ミステリーみたいなのを書きたかったのですが「なんか違う…」となってしまいました。