【7】鬼の女神降臨
リリアが総司令を降りるらしい。
カレン様の研究をつぎたいのはわかる。
まぁ、本人もここ数年で知ったらしいがエルフの血が多少混じっていたらしい。
エルフ族は人間に比べて精霊の力が感じ取りやすく精密な魔術を使うのが得意なほうだ。
例えば、火属性の魔法を的に対して放つと人の場合、全体に当てるのに対してエルフが使うファイアはこう鋭いと言うか的を絞ってまるで弓矢のようなファイアになる。
そこで、魔力量は多くはないが回りに比べて繊細な魔力操作が得意な事に少し疑問を持って調べてみたらしい。
どうも、リリアの住んでいた地域の祖先はエルフとの交流が盛んな場所であり村の人口の1/4程がエルフ、そしてハーフエルフやクォーターを合わせると半数以上が何らかの形で血を継いでいたらしい。
ただ、それも時代や時間と共に人間の血が多くなり気がつけば村民の殆どは人族になっていたようだ。
村の存在がない今ではリリアすらそんな事実を知らなかったらしい。
まぁ、そういう歴史的なものは村の年長者からの昔話や本人の自発的探求心がなければ、学習校に通わない限り中々に話題に上らなかったのだろう。
まぁ、あの見た目もあり多少納得だ。
ただ健康診断や鑑定では人族と出るらしいから、まぁ魔力に関しては覚醒遺伝だろうとの事。
寿命も多分、他の人に比べるとちょっと長生きだなって感じになるかもと話していた。
「はぁ・・・」
って、リリアの事もだが今は自分の事も考えなければならない。
だめだ、頭が混乱して何から考えたらいいのかわからない。
「マ・・・マリス様。」
ぐるぐると考えてたら、声を掛けられた。
「あ?どうした?」
「いいいえ!基礎鍛練が終わったので・・・」
「あぁ・・・そうか、今日は武器に魔力を纏わせる練習だったな。よしわかった。」
「いや!あの、今アンネリ・・・」
そうだ、今日は魔力訓練の最中だったな。
何か知らんが、全員かなり気合いの入った面してる気がする。
良いことだな、うん。
「よし、まずは自分が一番使いやすい属性を纏わせてみろ。」
「そうではなく、アンネリカ様が先程リリアさ・・・、マリス様聞いてます・・・!!!??」
ふむ、得意と言えばカレン様自身の後継者はリリアなのはわかるが翠蘭の方はどうなるんだろう。
カレン様は、研究もされていたが確か翠蘭でも相当なお偉いさんだったよな。
「わー!!マリス様!炎引っ込めてください!」
「おわー!!すまん!全員はなれろ!」
考え事をしてたら、魔力を流し込みすぎて火柱のようなものが空高く上がっていた。
魔力を集中して小さく小さく・・・よし、収まったな。
剣を無造作に地面に突き刺すと、頭を両手で抱えしゃがみこんだ。
「はぁー・・・、すまん!ちょっと考え事し・・・て・・・・!」
なんだ・・・この、後ろからの殺気は!
凍えるような寒さに、明らかに堅気とは思えない突き刺す視線。
よく見ると部下達が真っ青な顔で凍りついてる。
「ん?なななななんだお前ら、わるかったって!そんな青い顔しなくても、もう大じょ・・・」
「・・・何が、大丈夫なのかしら?」
やばい、
やばいやばいやばいやばい!
これはアレだ!振り向いては駄目なやつだ!
俺の本能がそう叫んでいる!
これは、逃げなければ殺られる!
「もう一度聞くわ。・・・何が大丈夫なのかしら」
ア゛ァー!真後ろにいる!イヤッ怖くて振り向きたくない!
鬼がいる!間違いなく!
・・・ん?殺気がなくなった?
いや!騙されん!絶対俺は振り向かない!
と、思っていたら耳元に極上な甘い声と息が掛かった。
あ、いい匂いがする。
「ほら、こっちを向いて。早く言ってごらんなさい。何があったの?」
「す、すまん!考え事を・・・し・・・てたら・・・」
その声に反応してつい振り向いたら、アサシンがいた。
空気が寒い!イヤアアァ!殺される!
「はぁーーー・・・、アンネ、知らせてくれてありがとう。
悪いけど今から休ませるから、ここお願い。1人こちらに行くように言っておくから、進めといて。」
「わかりました。また、終わり次第ご報告に参ります。」
「悪いわね。ほら、呆けてないで立ちなさい。」
「はい!よろこんで!!」
・・・・死ぬのかな俺。