都市にいく
シスタ達は今現在領内で一番の都市に来ていた。
伯爵領とだけあってかなり賑わっている。
食べ物屋も武器屋も武具屋、骨董品などなんでもござれだ。
キンはその光景に感嘆の息を漏らした。
『ふわぁ、すげぇ』
目をキラキラと輝かせてまるで子供みたいだとシスタは思った。
キンの知らなかった一面を見れてシスタはご満悦だ。
これからも機会があれば来るようにしよう。
「キン、何をそんなに驚いているのですか?」
『何ってそりゃああの武器屋だよ!』
ガクッとシスタは肩を落とした。
(そういえば前世は不良少女と言ってましたわね。
確か武器を使って敵と戦うとか……)
「だから武器なのですわね……」
『んだよ、文句あるのか!?』
「いいえ~、別に何もありませんよ~」
『何だよ、それ……』
「それで、武器を買いに行きますか?」
『いいのか!?』
シスタは一番質の良さそうな武器を売っている店に行った。
店の中に入ると禿頭の大男が出迎えてくれた。
「いらっしゃい!」
見かけによらず気の良さそうな声である。
「キン、この中で欲しいもの一つだけ買ってあげますよ」
『ん~悩むなー!』
おもちゃを決めあぐねる子供のようである。
やはり子供らしいところもあるとシスタはクスッと笑う。
『よし、決めた!』
そう言ってキンは一つの武器を指差す。
「ええ、これですか!?」
「店主さん、これ一つください」
キンはシスタ以外には見えないため代わりにキンの意向を言ってあげる。
「むう、これか……」
店主は微妙な表情をしている。
「嬢ちゃん、こんな得たいの知れない物を買うって言うのかい? 俺は長いことこの商売やってるがこんな変な武器はあとにも先にもこれだけだろうぜ」
「それでいいのです、それをください」
「こんなのでいいのかい? なんか釈然としねえが毎度あり」
店を後にしたシスタとキンは手にした武器を見ながらこんな会話をする。
「なぜ、このような武器とも言えないようなものを選んだのです?」
『そりゃあ、前世で使いなれてるからよ!』
「そうなのですね!」
『ああ、使いなれてるからな。慣れてみると案外使いやすいぜ?』
武器の名前は前世で言うところの鉄パイプであった。
キンは鉄パイプ大好きなのであった。
◇◇◇◇◇
家に帰ったシスタはキンに体の主導権を渡した。
キンはシスタの体で屋敷の庭で鉄パイプを野球の素振りのごとくブンブン振り回したのであった。
久しぶりの鉄パイプは気持ちがいいな~と思うキンであった。