美少女になってた
目を覚ました少女の目に写ったのは見知らぬ天井であった。
そして周りを見渡す。
少女は一声。
「なんだこりゃ………」
それもそのはず見たこともないような豪奢な部屋であったからである。
しかも今自分が寝ていたのは贅沢をこれでもかと凝らしたようなベッドの上であった。
大きさも自分が見知っているものの数倍。
さらには――
「んだ? あたしの声、こんなだったか?」
いつもとは違い高く澄んだ声。
まるで自分が自分じゃないみたいだ。
ペタペタと顔を触る。
やはり違和感を感じる。
これは夢なのかとも考えるが感触が現実のものだ。
ならばベッドから起き上がって状況確認だ。
ここはどこで誰がなんの目的でこんなところまでつれてきたのか調べる必要がある。
そしてベッドから起き上がる。
部屋のすみには大きい鏡台があった。
鏡に写った姿は自分とは似ても似つかないまごうことなき美少女。
肌は美しく、銀色の髪はさらさら。
まるで美という言葉そのものであった。
体を動かす。
鏡の少女も同じように体を動かした。
ペタペタと顔を触ってみる。
鏡に写った少女も同じようにペタペタと顔を触っている。
鏡には驚愕に彩られた少女の顔しか写っていない。
「なんっじゃこりゃーーーーー!!!!!!」
少女は外見に似つかわしくない声量で盛大に叫んだ。