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誕生日会



王子の誕生日会当日。


現在パーティ会場である、王城の大広間にいた。


多くの貴族がいる。


「キン、今回だけは入れ替わりませんよ」


『え~、ぶーぶー』


「ダメといったらだめです。絶対にだめです!」


へのへのもへじ、みたいな顔になっているキン。

明らかにふてくされている顔だ。


(ただでさえ私は影で暴食令嬢なんて呼ばれてますのに、もし王子の誕生日会でキンに体の主導権を渡したらとんでもないことになりますからね)


(ある程度キンに乗り変われないように練習もしましたし)


実はキンに乗り移られないようにする方法を練習していたシスタ。

その方法とは気を強く保つことである。


つまりは自我を保つことでキンの憑依を阻止できる。


「ふふふ、キン。今の私が今までの私と同じだとは思わないことですね」


『けっ!』


やはりふてくされている。




そんなやり取りをしている内に他の令嬢達が挨拶に来た。

一応は伯爵令嬢であるためコネクションを作るために挨拶に来ているのだ。

シスタは内心ではあまりコネクション作りに好意的な感情を持っていないが、外には出さずに丁寧に対応していた。


その間キンが体を乗っ取ろうとしていたが先程説明したように自我を保つことでなんとか阻止していた。



◇◇◇◇◇



やっと今回のパーティの主役である王子が登場するようだ。


聖楽隊がズラーっと向かい合うように二列に並んで演奏している。


あまりにも大がかりな登場だ。


そしてその間を歩いてくる少年が一人。


彼が件の王子だ。


やはりカリスマがあるとシスタは思った。

噂通りの少年だ。


『う~ん、王子、王子』


ぶつぶつと呟いているのはキンだ。


「またですか?」


『あとちょっとでよ~、何かを思い出せそうなんだよな~』


『シスタ、シナリオと王子、学園で思い浮かぶものはなんだ?』


「うーん、わかりませんね。共通点があるように思われませんが」


そんなことを話していると王子が目の前を通っているところだった。


「…?」


『どうしたシスタ』


「王子と目があったような……」


『気のせいじゃないか?』


「そうですか………」


珍しくシスタは釈然としない様子だ。


『気にするなって、目が合うことくらいあるだろうさ』


「……そうですよね、そんなこと気にしてたらきりがありませんよね」



大量の料理が運ばれてきた。


伯爵家での食事も豪勢であるが、さすが王家主催のパーティと言ったところで見たこともないほどに高価な料理がズラーっと並んでいる。


『うー、我慢ならねぇ』


キンがよだれをたらしながら料理を見ている。


シスタは乗っ取られないように気を強く持つ。


それからパーティはつつがなく執り行われ最後を迎える。


シスタは練習のかいもあってか乗り移られていない。


最後に王子が壇上で締めの挨拶を行い、パーティはお開きとなった。


パーティが終わってもシスタは王子と目があったことに執拗に気にしているようであった。






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