シナリオ
『シスタ!もし荒事だったらあたしが変わるぞ!』
「お願いします!その方がいいと思います!」
路地裏を曲がって曲がって目的地まで走っていく。
後ろで御者が大声で呼び止めようとする声が聞こえるが関係ない。
悲鳴をあげた人の無事を一番優先する。
それに関してはキンとシスタも同じであった。
◇◇◇◇◇
シスタが声の聞こえた方へいくと女の子が地面に倒れており、その周りを男達が囲んでいた。
女の子は服がはだけている。
この状況だけで何があったのかは想像に難くない。
「てめえら~!」
シスタに乗り移ったキン。
「よってたかってよ~! しかも女を!」
キンの最も嫌うところである複数人で弱者を追い詰める輩達。
そして女に暴力を振るうこと。
これがキンの逆鱗にさわった。
「おいおい、なんだよお前。俺たちに遊ばれたいのか」
取り囲んでいた一人の男が言った。
それに合わせ他の男達が嘲笑。
「てめえも剥くぞ!」
「……」
「お前、よく見るといい女だな」
そういってキンに向かってくる男。
服に手をかけようと手を伸ばす。
パシッ
キンは男の手を払い
―――男の顎に拳をクリーンヒットさせた
男は宙をまい、地面に倒れ伏す。
ピクピクッと動くだけで意識はないようだ。
周りは放心しかけていたが状況をようやく理解できたらしく、
「な、なんだ! この女、恐ろしく強いぞ!」
じりじりと後ずさる男達。
「囲んでやっちまえ!」
キンの周りを囲むように移動。
「はあ、来な…相手になってやるよ」
「なめるな、クソアマが!」
一斉に男達がキンに飛びかかる。
「フッ、他愛もねえ」
男達によってキンがなすすべもなく蹂躙……
されなかった。
周りにいた男達を拳ひとつで全員一発でのしていた。
キンは前世でこれしきの場数を幾度となく越えてきたのだ。
こんなものは困難のうちに入らない。
◇◇◇◇◇
「おい、大丈夫か」
キンが倒れていた女の子―――
シスタと同年代ほどだった。
キンは手を伸ばして倒れ付している少女を起こそうとした。
少女は何かをぶつぶつと呟いている。
「何よこれ、シナリオと違うじゃない、そんなわけ……」
「シナリオ?」
「な、何でもありません! 助けて頂いてありがとうございます!」
そして少女は急ぎ足で立ち去っていった。
「何だったんだ……」
何か釈然としない。
それにシナリオという言葉がやけに気になる。
◇◇◇◇◇
キンが入ったシスタを影から見つめるものがいた。
「彼女は……一体…」




