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86. 生きるために何ができるのか

「コスツス伯爵の罠にはまったのかも」


 クロードの顔を横目で気にしながら、カイに向けて話す。


「伯爵が罠を張る必要がどこにある? 実の娘だろ?」

「伯爵は私を娘だと認めていない。だから追い出したい。クロードとの噂が広がっていた。利用しようでいいんじゃない? 実際そうなったし」

「確かにそうだけど、本当にそうなのか?」

「不審な動きをしたのは、クロードぐらいしか思いつかない」

「アンナの一言がなかったら、追い出されていないよな?」

「アンナは利用された。運よくあの場所を通っていたのではなく、よくわからないけど、誰かに呼びだされた? カイが通りかかって、追いかけることにもなったはずだけど、二人でどこかにか向かっているようでもあったし……」

「リハビリだ! あの時間にあの場所を通る。廊下で真由が執務室に入れなくて困っているとしたら、声をかける!」


 ビーズだけがバラバラに落ちていたのを糸でひとつずつ繋いでいって、ひとつの出来事につながった。

 アルベルト様は、このお屋敷にいるはずだから、リハビリの時間を知っていた。

 だから、この時間に遅れるなとカイに釘を刺した。

 カイは私に懐中時計を貸してくれた。

 私はマインスター伯爵と会うことができなくなるために時間に正確にと言われたのだとばかり思っていた。


「いいえ、面白がっていたアルベルト様の罠かも」

 

 誰も彼もが怪しく見えてくる。

 どっちにせよ。お屋敷は追い出されてしまった。

 努力をするなら、もうお嬢様業は終わりにして、生きるために何ができるかを模索しながら働く方に力を注ぐべきだという結論に達した。

 メアリー、バートンさんに訳を話すことにして、呼吸を整えてドアノブを叩いた。願わくばメアリーに怒られませんようにと祈りながら、待っている間の長さ。そこ何分かだったはずなのに永遠にも感じられた。


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