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128. 任務と遂行と

「クロード、ありがとう。屋敷に戻って」

「俺には俺のやるべきことがあるから、まだ戻りません」

「そう、だったら、やるべきことをやってお屋敷に帰りましょう」

「一緒に帰りますか?」


 お屋敷に帰りましょうと自分から言ったのにその問いに詰まってしまった。


「わからない。帰らないかもしれないし、帰るかもしれない。私が何を選択をしても自分の責任で、自分のやりたいようにやっていくつもり、何を選択しても後悔のないようにしたいの。クロードも私のためとか思わないでね。あなたの人生だから、生きたいように生きて」

「わかりました。やりたいようにやらせていただきます」


 深々とお辞儀をすると、クロードは背を向けて歩いていく。

 それが別離のような気がして、袖を引いて引き留めたいのを堪える。

 ずっと一緒にいてくれて、守ってくれた人。

 これ以上、彼の好意に甘えてはいけない気がしていた。

 

「行かないのですか?」


 差し伸べられた手に驚きを隠せなかった。

 自由に生きてと言ったのにまだ一緒にいてくれる。

 でも私はその手を取ることができない。

 

「行きましょう」


 ずるいかもしれないけど左手を差し出す。

 彼に約束の印が見えるようにして手を取る。

 クロードの視線がゆっくりと約束の印を捉える。


「行こう」

「うーん。やっぱりカイじゃなくて、クロードかあ」


 待て、どうしてそうなった?

 扉の影からそっとキャルムが姿を現した。 


「キャルム?」

「旦那様が厳しい方だからさ。クロードと一緒になってもお屋敷に帰れないよね。わかるわかる。でもさ。娘に甘そうなこともわかったから、帰ったらいいさ~」

「キャルム、私。仕事やりたいの」

「お嬢様が?」

「あなたは傭兵の仕事どうしてやめたの? 安定していないからでしょう? 時には悪事に手を染めないといけない。それが嫌でやめたんでしょう? 私もいろいろあって元の仕事を辞めなくてはいけなくなったの。今は充実しているの。だから革職人と呼ぶのにはまだ早いかもしれないけど、この仕事は辞めたくない」

「わかったよ。そこまで言うなら、とことん付き合うしかなさそうだな」


 また手を必要以上に握りしめている。

 雇主から何を言われてここにいるのかがわかる。

 何かを諦めたようにして、深く深く深呼吸すると笑顔を作った。

 手を私の頭にのせるとぐしゃぐしゃにかき回す。


「ちょっとキャルム?」

「頑張ってるなぁと思ってさ。でも頑張りすぎるなよ。肩の力は抜いていけ」


 彼なりのエールだと思って受け取る。

 

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