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126. 行き場のない後悔

クロードと当たり障りのない話題を話しながら帰ってきた。 

カイの不在をはっきりと意識をしたくなくて避けまくった結果だった。


「ただいま」


 ドアを開けると、テーブルにもたれ掛かるようにしてうつ伏せに寝ていたメアリーの瞳がゆっくりと開いて、目をこすりながら玄関に歩いてくる。

 羽織っていたコートを脱ぐと顔があらわになる。


「おかえりなさい。カイには会えた?」


 泣きはらした目を見られてしまった。

 隠したとしても彼女にはわかってしまう。


「カイに会えなかったの? マユ、大丈夫?」

「会えたけど、カイは手の届かないところに行ってしまったの。待っててくれたのにごめん。メアリー、先に眠るね」


 瞳をまっすぐに見ることができなくて、下を向きながら早口で話す。

 心配で待っててくれたメアリーに対して、不敬な態度だとわかっている。

 詳しく話したら、止まっていた涙腺から気持ちがあふれてしまう。

 踵を返して、部屋へと足を速める。

 笑顔で大丈夫だと伝えたかった。

 メアリーの瞳を見つめて話をしたかったが、溢れた思いをどこに持って行ったらいいのかわからない。何も整理ができていない状態の時に話しても支離滅裂でわからないに違いない。今は話す時ではない気がした。


「クロード」

「わかった。話す。あと相談したいこともある」


 ドアを閉める瞬間、聞こえた言葉に耳を澄ませるがすぐにドアを閉めた。

 ベッドに倒れ込むようにして横たわる。

 左手の約束の印を見る。


「カイのバカ」


 言葉に耳を傾けようともしてくれなかった。

 今まで心地のいい言葉ばかり聞いてきた。離れてしまうことになるなら、すぐにでも彼の手を取ればよかった。

 今更、後悔しても遅かった。

 ミノムシみたいにぐるぐる巻きになって布団に安心感を求める。

 体を丸めると母の胎内にいるような感じがするのか、目が自然に閉じていく。

 暗く長い夜を起きて過ごすと泣いて過ごさなくてはいけない。

 今は何も考えないで深く深く眠りたい。

 夢の中だけでも会えたらいいのに。

 願いは虚しく、朝の光とともに消えていった。

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