表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

陰茎失格〜太宰治がワクチン接種にいったら〜

作者: 雨宮結城

人が目の前を飛び交う中、太宰は渋谷に立っていた。どうやら入水自殺で死んだと思われていが2021年にタイムスリップしたらしい。そしてなにやら道ゆく人全員が布を顔にかけておりとても奇妙だった。今はコロナというものが流行っているらしい。こんな状況では女遊びなんてろくにできないし、そもそもこんな古風な顔の私が現代の顔のトレンドに合うはずもなく、どうすれば良いのだろう。そうおもいながらも性欲は抑えられない。今までは何人もの相手がいたし自慰行為なんてしたことがなかった太宰が一人で慰める快感、喜びに気づき日に日に頻度がましていき、やがて自慰中毒になってしまった。

2021年9月、そんな太宰にワクチン接種権が届いた。

「めんどくさいけど受けに行くか…」

自慰の多い生涯をおくってきました。

私には自慰のない生活というものが見当つかないのです。

本日ワクチンなるものをうちに行きました。その際、看護師に注射した方の腕が上がらなくなると言われたものでしたので左腕を差し出し注射してもらいました。これでコロナの危険性は少しはなくなると少しばかりの喜びを感じながら帰宅しました。

しかしその夜、私は多大なる絶望感に打ち震えたのです。夜がふけ気分も何やらムラついてきたところでしたので毎晩のルーティーンのように寝床にティッシュを設置し右手で携帯を持ちました。その瞬間思い出したのです。普段私は自慰を左の手で行っていたのでした。しかし、その夜のむらつきというものは尋常なものではなくそれならば右手でやればいいと思い携帯を左手に持とうとしましたが、これまた左手が上がらず持てませんでした。

かくなる上はと寝床から跳ね起き座椅子に座ると即座にPCが立ちあがり、その勢いと興奮でわたしの息子もまた立ち上がっていました。

そしてブックマーク済みのお気に入り女優の動画を即座に開き右手での自慰をおもむろに始めたのですが中々うまくできません。それもそのはずで、いつも使わない左手で食事をしようとすると箸が使えず上手くご飯が進まないのと同様にいつもと違う右手では上手く自慰が進まないのです。

ついにはわたしの息子は落ち込んでしまい腕を床に落としました。

社会のストレス、性の欲求、あらゆるものをこの自慰で発散してきた息子にとって自慰ができないことは存在意義のない尿を垂れ流すだけのただの肉棒に成り果てたと同義なのです。

陰茎失格です。

どう発散すれば良いのかと多大なる絶望感に打ち震え、泣き叫び、ついに残ったのは虚無のみでした。あぁこれが賢者タイムなのかと虚ろな目で微笑し色んな意味で疲れ果てた私は再び寝床へと赴きました。明日も左腕が治らないかもしれない不安と恐怖は確かにあり私を苦しめますが、明日のことは明日の私に託し寝ることとします。


これは先日ワクチン接種に行った時に注射の説明を聞いてる時にパッと思いついて帰りのバスでささっと描いたものです。個人的に面白かったので投稿してみました。

読んで頂きありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ