四季の城
小さなプリンセスは僕に言った。
「この世界にはゾンビがたくさんいて怖いんだ」
僕はそこら辺の木の枝を拾って彼女に渡した。
「このてっぽうでやっつけちゃえば怖くないよ」
僕たちはプリンセスのお城に向かった。
ポケットの中が鳴った。
僕は慣れた手付きでそれを取り出した。
青い光が怪しく広がり、視界を奪った。
まぶしすぎる光に目を眩ませているうちに、小さなプリンセスは姿を眩ませた。
僕は焦ってあたりを見回した。
いつのまにかお城の目の前まで来ていた。
そのお城は、目まぐるしい程に姿を変える。
あるときは色彩を咲かせ
あるときは深緑を震わせ
あるときは黄金を輝かせ
あるときは白銀を纏わせ
どのときも人々はその美しさに息を呑んだ。
生まれたときからあるそれは僕には日常の背景でしかなく、モノクロにすら見えていた。
しかし今は確かに、
"美しい"
と、そう思った。
プリンセスはすぐ後ろにいた。
「さあ、プリンセス。僕を撃ってくれ」
プリンセスは真っ直ぐに僕を見据えて、引き金を引いた。
青い光にひびが入って、消えた。