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何だったけ。特に何もしていなかったので、なにか思い出すことがあるわけではないのだが、何だったけ、って独り言みたいにして呟くとそこで頭が切り替わったような気がする。私みたいな人間、つまり無用であることに価値を見出すような人間、そうすることによって無用である自分に価値を無理やり付与しようとするような人間ができる仕事というのは世の中に極端に限られている。ほぼ無い、といってもいい。仕事というのは基本的に有用であることに価値を見出す有用な人間の有用な行いの集合体なので、私すごく無用なんです全然使えないんです要らないんですやばくないですか? みたいなのはアピールにならなかったりする。バイトの面接で失敗するパターンだ。趣味はないです。特技もないです。自己PRもありません。志望動機は、なんとなくです。どうでもよくないですかそういうのでなにか分かるんですか聞いてどうするんですか面倒だ面倒だ面倒だ時間の無駄だ帰りたい。私はこういう人間です、って知らねーよどうでもいいよお前誰だよそれを聞いてるお前はなんなんだよ。そもそも人間ですら無いような、気がしてるんですが。人間は人間に質問なんかしませんよね。