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汚い部屋  作者:
3/10

目が覚めて、眠っていたことに気づく。気づくというか、さっきまで眠っていて起きた状態に体がなっている。ぼーっとしている。体が少し痛い。眠気が残っている。もう一度眠りたい。がなかなか難しい。のどが渇いている。お茶を飲む。あたりを見回す。必要としているものがないか考える。ない。多分、少なくとも今の時点では。これが終わったらどうしようか。本屋に行きたい。買おうかどうか迷っていた小説を今は買おうという気分になっている。私は今お金を稼いでいるのだから、それが当然だ、という気分になってきている。いつもこんなふうにして、無駄遣い、という意識はあまりないが、それは無駄遣いだと世間一般から言われそうなことばかりをしている。無駄が多いと言われる。私には無駄が多いらしかった。それはなんだか申し訳ないような気もする。ある意味では、申し訳ないことなのかもしれない、と思わないこともないこともない、かもしれない。回りくどい言い回しを私は好む。本当は、無駄があればあるほどいいのかもしれない、とも思っている。そう思ってたほうが楽ではある。私自身の気分としては、無駄が多くて、無駄があればあるほどいいと思っていたほうが楽である。楽じゃないのが好きな人は無駄を省く生活をすればいいし、でも多分無駄を省く生活が好きな人は、無駄の多い私の生活よりも、楽だと思っているからそっちを選んでいそうな気もする。なら無駄の多い生活を愛する私の気持ちをいちいち否定して矯正しようとするような、そういう態度は謹んで欲しいものだとも思う。そんなこと別に誰もしていないのかもしれないが、今後そういうことをしてくる人にひょっとしたら遭遇する可能性も無きにしもあらずなのでそのときに備えて念のために前もって理論武装しておく、という後付けの理屈を考え出すところも含めて無駄が多いと私は人から言われるのだと思う。別にどっちでもいいが、無駄の多い生活ばかりが否定されて、無駄を省く生活が何故か無批判に称賛されていることには不公平を感じる。無駄を省く生活至上主義者は自分を省みるってことがないんだろうか、と思ったりもする。まあ中には、無駄の多い生活にきちんとしたリスペクトを払う無駄を省く生活主義者もいるのだろうし、逆に無駄を省く生活を頭から軽蔑するだけの狭量な無駄の多い生活者もいるかもしれない。そういうとき私は他人の主義的生活を侵犯するような大人にはなりたくないものだなと思ったりする。


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