094.秘密結社OHK
遅れてすみません。今週は忙しかったのです。
「そのままとはなんだ! そのままとは!」
「だって、オークを滅ぼす会でOHKって……。全然考えていないじゃないですか。あと、その略称“オークを保護する会”にもなりませんか?」
むしろ、オークを保護するお姉さま方の会に手厚く保護されたいです。
──あっ、豚女の集いは結構です。ほら、OHKになっていないので。早急にお引き取り願います。
「いや、それは絶対にない。我々はオークを火で炙ることはあるが、保護はしない」
「なんで火炙り一択なんですか!」
「火で炙った方が気が紛れるからだ!」
「ストレス発散のために僕を火で炙るのはやめてくださいよ!」
「あと、近頃は朝夕共に冷えるからな。暖を取るためにも炙らなければならない」
「人を薪のようにくべないでください!」
「人? さっきからずっと思っていたのだが、お前はどうして自分のことを人だと思っているんだ? どこからどう見ても豚じゃないか」
「心の中は純粋な人です」
ほら、この清い心。あなたには見えないのですか?
「まぁ、私には関係のないことだ。次会うときは火炙りの日だ」
「そ、そんな……」
どうしてそんなに冷たく返してくるんですか! 豚小屋の女王様の返しには愛がありましたよ! 愛が!
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あれから三日経ちました。結局、誰も迎えに来ませんでした。
みなさん、いったい何をしているのでしょうか? ひょっとして、かぼちゃを食べすぎたせいで胃もたれで動けなくなってしまったのでしょうかね?
前々から嫌われているなぁって薄々思っていましたが、いくらなんでも酷いですよ! あんまりじゃないですか! とっと助けてくださいよ!
そういえば、この三日間ずっと骸骨マスクさんがやってきます。二回目に来たときは驚きましたよ。だって、「次来るときは火炙りの日だ!」なんて言われましたからね。てっきり火炙りの準備ができたんだと思ってしまいましたよ。
ただ、耳を澄ませて聞くと、声が違っていました。そのたびに、僕に罪を認めさせようとしているのかオークに無残にも“ピー”された人や“ピッピッピ”された人の話をしてくるのですよ。
そして、話が終わると、僕にご飯をあげることなく地下牢から出ていくのでした。
それが三日間で五十回あったんですよね。それも全員、声が違うんですよね。みなさん、暇なんですね。あなたたちこそ、お祭りを楽しんだ方がいいんじゃないでしょうかね。
ちなみに、その話の中で一番きつかったのは男性の話でした。
さらに、その中でも奥さんにオークと一緒に駆け落ちされた男性の話は心にひびが入りました。
ただ、仕事熱心な夫よりも女性にしか興味がないオークを選ぶ奥さんもそうですが、オークと浮気していることに気づかない男性もおかしいんじゃないかと思うんですよね。
特に夜な夜な森に入って、朝になると、乱れた格好で帰ってくると涙ながらに言われたときは「その時点で怪しめよ!」って言いたかったです。
とっても言いたかったけど、彼の話があまりにも悲しくてつい腰布を手渡そうとしてしまいました。
さて、二十分ぶりに骸骨仮面さんが現れました。もうかわいそうな男性の話は聞きたくないからお話はやめてくださーい!
「さて、儀式の準備は整った。来てもらおう」
「あれ? あなたって七回目に話に来た方じゃありませんでしたっけ? そうたしか婚約者をよりのもよって、雄のオークに「それは私の話じゃなくて、私の姉さんの話だ!」
そうですか。お姉さんもこの団体に入っていらっしゃったのですか。それはお気の毒様です。
「あぁ、そうでしたか。じゃあ、お話してくださいよ。そして、さっさと帰ってください。出口は右に曲がって奥を進めばいいですよ」
「そんなことは聞いていない! お前の火炙りが決定したんだ!」
「えっ! 本当に僕を火で炙っちゃうんですか!」
「とにかく、来てもらおう」
彼女が僕の入っている牢屋の鍵を開けるなり、手拍子を合図に屈強な男性たちが中に入ってきました。そして、僕を運び出したのです。
ちょっと待ってください。五、六人で運ぶのはまだいいですが、たまに胴上げするのはやめてください。心臓に悪いですから! あっ、また、胴上げし「ぴぎゃあああああ!」
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嬉しくない胴上げをされながら運ばれた僕は今、磔にされています。
そして、骸骨の仮面を被ったローブ姿の怪しい人たちに囲まれて呪文を唱えられています。
「アーリャアトラーシャシェンリャンホーラソーメートラーセラーターベーリャナーモノ「いったいさっきから何言っているんですか!」コーゲジャンメンノーチージノノペイリョートカーララコニーソン「だから何言っているんですか!」ケートニニニニコーノーベンベンペン「誰か答えてくださーい!」
呪文の意味はまったく分からないし、骸骨の仮面を被ったローブ姿の人がたいまつ持ちながら、暗い声で囁くように言われると恐怖しかないんですよ! もう誰か助けてくださいよ!
あと、呪文が長くてうとうとしている人もいますし、先走って、火をつけようとした人もいますよ! こんな人がいるのに、儀式をしたことになっていいんですか!
「さて、最後にご唱和くださいませ」
いったい何を唱和するの? もう十分唱和したんじゃないんですか!
「「「くたばれ、オーク」」」
「なんで、最後は普通に言うんですか!」
あなたたちのオークに対する憎しみは重々理解していますから! だから、そのたいまつを僕の足元に近づけないで!
「その火炙り、待った!」
誰ですか! 急に結婚式の花嫁を攫いに来た男のような台詞を言った人は!
──なーんだ。レイラさん。あなたですか。一瞬、喜んで損しました。
あと、黒蜥蜴君に乗れたんですね。よかったですね。
「何だ! その表情は!」
次回は明後日更新予定です。




