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090.喋る枕は歩きたくない

 

 どうも、オークです。


 今、頭の上に枕が乗っており、さらにその上に、睡魔と名乗る少年がゴロゴロしています。


 いい加減、頭に乗るのはやめてほしいのですが、何度言っても「足攣った」だの、「ボクが歩いてしまったら、天罰が下る」だの、しまいには「枕を浮かすことに力を使い果たしたから今日は動けない。正体をばらされたくなかったら、さっさと動け! この豚野郎!」と罵られました。


 ただでさえ、変装時の見た目の印象が最悪なのに、オークとばらされたらとんでもないことになります。


 たぶん、勇者教会が僕を取り囲んで殴る蹴るの暴行をします。そして、いつの間にか木の枝に吊るされて、丸焼きにされるんだ。


 約一週間ほど死刑宣告が延びたからほっとしていたのに、5日くらい残して丸焼きにされるなんて嫌ですよ!


 そんなわけで僕は少年の脅しに屈し、こうして頭に乗せているわけです。


「ねぇ、あのかぼちゃカステラ食べたいから買って」

「お祭りに来たのに、お金を持ってきていないとは何事ですか?!」

「最近、事務員が引きこもっているからボクにまで仕事が回るんだよ。ほら、ボクって机に向かって三秒でベッドに飛び込んでしまうから辛いんだよね。だから、少しは労わってよ」

「事務員が引きこもっているとか、僕には関係のないことじゃないですか! あと、犬さんは勝手にかぼちゃの種投げの方に行かない!」


 駆け出そうとする犬さんのメイド服の襟を掴むと犬さんは不満げな顔をしました。


「だって、面白そうだもん。かぼちゃの種を弾き飛ばして景品に当てたら、もらえるんだよ。ほら、あの骨が欲しいよ」

「そんな景品があっていいんですか!」


 っていうか、射的の代わりにかぼちゃの種当てって何ですか! この祭りはかぼちゃを使わないといけないのですか!


「お困りのようですね」


 こ、この声は……。絶対に彼女だ! まさか、僕と一緒にお祭りに参加したかったのでしょうか。


 さぁ、彼女の名前を呼ぶことにしましょう。


「レミオラさーーーーーーーーん」


 ──うわっ! あともう少しでおじさんにあたるところだった。


 あと、おじさん、その頭がおかしいやつに会ったみたいな顔をしないで! 謝りますから警吏の人だけは呼ばないで!


 さて、おじさんとの熱い抱擁未遂に追い込んだレミオラさんにここはひとつ文句を言いましょうか。


「どうして避けるんですか! ここは熱く抱擁するところでしょうが!」

「だって、その顔がとてつもなく気、個性的なので」

「気持ち悪いなら、気持ち悪いって言ってくださいよ!」

「ところで、その上に乗っかっている少年は何ですか? ひょっとして、少年趣味でもあったんですか?」

「あるわけないでしょうが! 僕は至って普通ですよ! そんな特殊な趣味があるわけないじゃないですか!」

「それに、あの臭いがしませんものね」

「さっきから、気になっているのですが、僕のどこからそんな異臭がするんですか!」

「一応、お嬢様が『オーク殿は犬には手を出さないとは思っているが、万が一にも犬に“ピヨピヨ”でもしていないか見に行ってくれ』と頼まれまして渋々来たのですが、心配ないようですね」


 無視するんだ。僕の言葉になんか興味ないんだ。そうでしたよね。あなたは、少年趣味がありましたものね。そりゃ、大人にもオークにも興味がないわ。


「あれ? どこかで見たことある枕ですね? 少年、少しそのフードを外していただけませんか」

「いやだ! お姉さん、絶対ボクにやらしいことをするつもりだ! だって、お姉さん、さっきからボクのことをやらしい目つきで見てくるもん!」


 やっぱり、少年趣味があったのですか! てっきり、僕に熱い視線を送っているものだと思っていましたよ!


「そんな目つきしてませんよ」

「じゃあ、その目は僕のことを見てくれていたのですか!?」

「そんなわけないでしょうが! それよりも犬が逃げますよ」


 えーっ! 僕のことを見てはいなかったのですか! 残念です。もう森に帰りた、──うん? 犬が逃げる?


「こら! 待て!」

「この骨をフリフリしたら、襲いかかってきますよ」


 手渡されたのは大きな大腿骨。誰の骨なのかは知りませんが、なんか呪われそうで持つのが少し怖いです。


 しかし、犬さんに逃げられたら、色々まずいことになるので、骨を振り回しましょうか。


「襲いかかってほしくはありませんが、危険な猛獣を放っておくわけには行けませんからね」


 少し目立ちますが、振っておきましょう。さすがに、犬さんが迷子になるのはまずいので。


「ワオオオーン!」

「ぴぎゃあああ!」


 どうして、こんなに素早く接近できるんですか! まさか、僕に噛みつこうと思っているんじゃないでしょうね! もう怖いからやめてください!


「さぁ、坊や。お姉さんに顔を見せて頂戴」

「いやだ! 絶対に嫌だ! お姉さん、ボクに事務仕事をさせて馬車馬のように使い潰すつもりなんだ!」

「そんなわけないでしょうが! 私はメイドですよ。そんなことはしません!」 


 一応、彼女の本業は諜報員ですけどね。こらこら、噛みつかない!


 あっ、今、腕を噛んだな! 痛いからやめてください!


「って、この顔、まさか……」

「何か問題でもありましたか?」

「わふーん?」

「なんで貴方がここに居るんですか!」


 だから、その子、いったい誰ですか?


 っていうか、どうしてやる気のない子に敬語を使っているんですか!

 

次回は明後日更新予定です。

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