089.枕が喋ると、犬は吠えて、オークは怯える
いつもより遅れましたが、どうぞお読みください。
どうも、オークです。
今、奇妙な現象を目の当たりにしています。
なんと喋る枕が浮いて僕の後ろをつけているのです。
僕もおかしいなぁ、おかしいなぁと思いながら、何度も目を擦ったり、目を見開いたりして、その浮きながら喋る謎の枕を振り向き様に見るのですが、僕の後ろをつけているのです。
いよいよ、枕もストーカーになる時代が来てしまったのでしょうか? 枕が布団かベッドの上から動いて欲しくないと思ったのは、枕投げ以来ですよ。
こらこら。犬さん、唸らない。噛みつくのもダメですよ。こんな枕食べたら、確実に腹を下しますよ。
「ねぇねぇ、君って本当にすごいオークなの? そうは見えないなぁ。そうだ。僕が君の好きな夢を見せてあげるから君のことを教えてよ!」
「うるさいんで黙ってくれませんか?! あと、僕は人ですよ」
この枕につけられているせいで路地裏を歩いています。
ほら、大通りだと喋る枕は目立つじゃないですか。だから、人気のない路地裏を歩いています。
「その変装って、粘土スライムでしょ? ふわぁぁ」
「粘土スライム? なんですか、それ? ま、まさか……」
「粘土スライムは見た目は粘土なんだけど、核を粉々にしてかき混ぜるとねん、すぴーー「話している途中に寝息立てるんじゃない!」
ここはあなたが、その粘土スライムについて説明して、僕がミカエラさんに怒るところでしょうが! ちょっと話の流れが理解できていないではないですか!
っていうか、枕って眠るのですか? 前世を含めても、生まれて初めて知りましたよ!
「うるさいな。眠たいからちょっと黙ってくれないかな? そこのワンちゃんも唸らない。唸らない」
「眠たいなら、黙って布団の上にいてくださいよ!」
「それは無理だ。ボクはマグロのように一日中動き回りながら、眠っているんだ」
「いや一日中寝ていたらダメでしょ。ところで、あなたは本当に枕なのですか?」
「枕? あぁ、これはうっかりしていたや。最近買ったこの枕がつい気持ちいいから溶けていたよ」
「そんなの聞いたことありませんよ! って、なんか枕から変なのが浮き上がってくるんですけど!」
なんか子供くらいの大きさの人型の何かが浮かび上がっているんですけど。
うわっ! なんか気持ち悪い。とっても、不気味です。
「変なのとは言わないでおくれ。あくまでボクは睡眠の妖精さ」
「あぁ、一晩中寝てしまう人ですね!」
「ほんと、君って失礼だよね。僕は好きで寝ているわけじゃないのに」
「そうだったんですか。って、やけに元に戻るのが遅いようですが……」
「ごめん。ボク、寝起きは起きているときの0.01%しか力が出ないんだ」
「それってほとんど寝ているのと変わらないじゃないですか!」
ひょっとすると、眠っているときの力より弱いんじゃないですか?!
「君って、本当に喧しいね。友達いるの?」
「いますよ。一人、二人、三人……。ところで、スライムは人って数えていいんでしたっけ?」
「君はオークなんだから、人じゃないでしょ」
だから、僕はオークじゃなくて、人なんですけど……。
「そういえば、どうして僕が粘土スライムで変装したって知っていたんですか!」
「君からはオーク独特の臭いがプンプンするからね」
「その臭いってなんですか?! 先日、この犬さんからも言われていたんですよ!」
「うん。オークっぽい臭いだよ」
「だから、そのオークっぽい臭いが分かんないんだよ!」
せめて、フローラルな香りとか腐った卵の臭いとかそんな感じではっきり言って欲しいんですけど!
「あっ、そろそろ出れそうだからちょっと静かにしてて」
「分かりましたよ」
すると、枕から小さなこどもが出てきました。
「改めまして。ボクは睡眠の妖精こと、あれ? なんだっけ? 名前忘れたや。適当に睡魔とでも呼んでおいて」
「なんか適当じゃないですか! って、また、寝るんじゃなーい!」
ほんと、この人、いや睡眠の妖精(?)は何なんだ!
次回も明後日更新予定です。




