085.聖女様は怒った
寝落ちして、目覚めたら0時過ぎていました。
なんかすみません。
とりあえず6時間遅れですが、どうぞ。
どうもオークです。
今、信じられないような光景を目の当たりにしています。
「どうして、英雄王様を殺されようとしているのに、じっと屋敷の中にいるのですか!」
「い、いや、その……、お母様に止められていてだな「お母様はこの際、関係ありません! あなたの本心を聞いているのです!」
「助けたい! 勇者教会にも裏金をしっかり送っている! だが、芳しい反応はない!」
今、レイラさんはアリシア様に叱られています。
そう。聖女様に叱られているのです。
その場所を変えてほしいと言いたいところですが、珍しい光景を目の当たりにして、なかなか言い出せません。
「バックマネーって人聞きのバッドなことをセイしないでいただけませんか? あれはあくまでチャリティーです。くれぐれもウロングなことを言わないでくださいませ」
ミカエラさん、バックマネーって何ですか! この言葉教えた人絶対英語知らないでしょ!
あとお久しぶりですね! てっきりあなたはここにいないと思っていましたよ!
「さっきからなにステアしているのですか? 気持ち悪いです」
「い、いえ、何でもありませんよ」
ただ、貴女の言葉遣いがおかしいなぁって思っただけです。
「では、私たちアスタシア教会の方にもお布施を頂けるのですね?」
「えぇ、勿論」
「なんで払うんですか?!」
なんか堂々と賄賂の求めに応じたような気がしたのですが……。そもそも、アリシア様もどうしてそんなこと言うんですか!
「決まっているじゃないですか。アンドルセンファミリーはキングのローに従う範囲で宗教とは付き合っているので、こうするのは当然です」
「なんか微妙にカタカナ言葉を入れないでくださいよ! 分かりにくいし、おかしな言葉遣いになってますよ!」
「いいですか。これはイビルを払うためのスペルです。そう、あなたみたいなイビルを」
「それって、逆に避けられません?」
頭のおかしい奴がここにいるわ……って、魔物や普通の人に避けられると思いますよ。
「なぁ、ミカエラ。助けてくれないか。さっきからアリシア様がわたしを散々詰ってくるんだ!」
僕にはそんな風には聞こえなかったのですが……。ひょっとすると、彼女の心に語りかけるような声にやられてしまったのでしょうか?
「これはまだ言いたいことの百分の一にも満たないですわ。あなたには言いたいことが山ほどありますからね」
「さっきからずっと気になっていたんだが、どうやって入ってきたんだ!」
「あら? レイラさん。何度も言ったはずなのですが、気のせいでしょうかね?」
「妖精さんが窓を開けただ? 信じられるわけがあるか!」
それを聞いたとき、僕も驚きましたよ。
妖精が異世界にはいるんだな。エルフは見かけないのに……。
ほんと、なぜでしょうね。まぁ、オークの住む森にいるわけないか。
「ほら、レイラさん。あなたの耳を今、引っ張っていますよ」
「まったく引っ張られていないぞ!」
「そうでしたね。あなたは心が汚れてしまっているから感じ取ることができないのでしょう。英雄王様は見えていますよね?」
「すみません。見えていません。僕は汚れているのでしょうか」
ほんと、見えなくて少しショックです。
ほら、僕の心がきれいじゃないって自覚はしているんですよ。けれど、いざ、その事実を突きつけられたら、悲しくなるじゃないですか。
「それはしょうがないことです。あなたは魔物。妖精は魔を嫌います。だから、見えなくても仕方ありません」
「それは良かった」
少しほっとしました。
「なぜオーク殿には優しいんだ!」
「英雄王様は敬わなければいけないものなのです。あなたみたいな変態に配慮をする必要などありません」
「そんな理不尽なことが許されてたまるか!」
「さて、そろそろ本題に入らせてください」
本題? あれ? なんだっけ? 思い出せな「英雄王様がもうすぐ殺されるかもしれないという話のことですよ!」
「あぁ、僕が三日後に死ぬことですか? なら、もう覆らないんじゃないですか? 勇者教会は相当怒っているんでしょ?」
「たしかに、ここ数年、魔王の間に来るのはクズノキだったよ」
「犬さん! どうしてそんなことはすらすら言えるんですか!」
まるで誰かにそう言うように躾けられたような気がするのですが!
「クズノキだけは覚えろと魔王様に言われた」
「それをここで言っていいんですか!」
「レイラさん。魔王軍の人を雇ってもよろしいのですか?」
「アリシア様、こいつは有能なメイドの紹介でな。それに、メイド長が『この子はバカだから正直言って何の情報も収集できませんよ』って言われたものだから雇うことにしたんだ」
「もうすでにバカだとバレている!」
「犬はバカじゃありません!」
そういうところがバカだと言われると思うのですが……。
「それで、そのクズノキさんを飛ばしちゃったから英雄王様は殺されそうになっているということですか?」
「その通りです」
「じゃあ、勇者教会にカチコミに行けばいいじゃないですか」
なぜそんな物騒なことをおっしゃるのでしょうか! いくら、クズノキ君が勇者の中で一番強かったのだとしても、他の勇者も強いでしょうが!
「そんなことしたら、お母様に叱られるではないか!」
「そんなの私には関係ありませんよ。勇者教会が消えたら、ラッキーですから」
なぜかアリシア様の冷たい微笑が怖く感じるのですが、気のせいでしょうか? 気のせいだといいのですが!
「アリシア様。だから、ミーたちはユーたちのアグリーなウォーにはかかわりません」
「じゃあ、こうすればいいじゃないですか。収穫祭を祟られたくなかったら、せめて収穫祭まで判決を延ばせって」
「それいいな」
「それのどこがいいんですか! ただの脅しじゃないですか! それに、僕はそんな恨みつらみを残せるような生き物じゃありませんよ!」
「魔物の中にはねちっこい生き物がいるんだ。200年ほど前にゴブリンの怨霊によって祭りがめちゃくちゃになったことがある」
「そんなことがあったんですか! って、ゴブリンの霊に無茶苦茶なされるイメージがまったく思い浮かばないのですが!」
「とにかくそれで掛け合ってみる!」
レイラさんは扉を乱暴に開けてどこかへ行ってしまいました。
「いってらっしゃい!」
聖女様は手を振ってレイラさんを見送りました。
「で、アリシア様。いつまでここにいるんでしょうか?」
「わたしの気が済むまでです」
えっ?
次回も明後日更新予定です。出来れば、0時迄に書きたいですね。




