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082.猿と呼ばれるシスコンたち

 

 結局、猿こと、六人のお兄様は追い払われることなく、屋敷に入ることが許されました。


 最初は本当に火矢を使って、攻撃していたのですが、彼らが「せめて、お土産だけでも中に入れてくれ!」と明らかに大きな荷物を見せてきたので、渋々、中に入れることになったのです。


 いやいや、普通、主人の息子に向かって火矢を放ちますかね? やっぱり、この屋敷は少しおかしいんじゃないですか?!


「いったい何しに来たの?」


 死んだ目をしたお母様がお兄様方にそう話しかけました。いや、死んだ目はやめてくださいよ! いくらなんでもかわいそうです!


「当然だろ? 俺の姫に会いに来たのさ」


 一人土産を持って来なかったお兄様こと、上から三番目のお兄様が高らかに言いました。せめて、お土産を中に入れることを条件に入れたのではないんですか? どうして、持ってきていない人まで中に入れたのでしょうか?


「僕は三番目の兄さんと違って、贈り物をちゃんと用意したよ。炎竜の魔石を使ったレイラの彫像さ。後で見るといい」


 三番目のお兄様の隣にいたお兄様は少し気恥ずかしそうに前髪をいじりながら、そう言いました。


「俺はレイラに似合うペンダントを用意した」


 その隣のお兄様は首につけていたペンダントを見せつけました。えっ! これがお土産なの?! 普通、包みに入れて渡すんじゃないの! どうして、首にかけているの!


「俺はレイラが好きなオークを用意した」


 いよいよ、マジのお土産を持ってきた人が現れました。なんか急にお嬢様が目を輝かせているのは気のせいでしょうか? 誰か! 嘘だと言ってください!


「それは生きているのか? レイラは生きたオークが好きなんだぜ」


 その隣にいたお兄様が茶々を入れます。


「生憎、運んでいる途中で死んでしまったよ。レイラはオーク肉も大好きだから問題ないだろ?」


 あっ! 急に虫けらを見るような目でそのお兄様を見始めた! やっぱり、生きたオークじゃないと許せないのですか! たまに、剥製のオークを買ってきているものですから、てっきり、喜んで受け取ると思っていましたよ!


「おいおい。お前たちは何を言っているんだ。贈り物はこの俺だから問題ない。むしろ、レイラのことなら喜んで受け取るはずさ」

「いや、どれも欲しくないのだが」

「「「あぁ、その冷たい仕打ち。いい!!!」」」


 これは重症ですね。今すぐ病院に行った方がいいでしょう。ところで、彼らにつける薬なんてあるのでしょうか? 


「ところで、どうしてお前がここに居るんだ!」


 自分がプレゼントだと主張をするお兄様が僕に気づいてしまったようです。そもそも、僕はさっきからずーっとここにいましたよ! よく気づきませんでしたね!


「いや、僕は無実の罪で無理矢理ここに連れて来られたんですよ!」

「いや、うそだ! 母上! 聞いてください!」

「つまらないことだったら、叩き出すわよ」


 つまらなかったら叩き出すって本当に親子なんですか? 少しかわいそうです。


「そこのオークに俺はとんでもない仕打ちを受けました。決闘の際に、不正をされ、さらには負けを認めている俺を吹き飛ばしたのです」

「あんた、さっきから嘘しか言っていないじゃないか!」


 つまらないどころか、ほとんど嘘をつきやがったぞ! 不正なんてしていないし、負けも認めていなかったじゃないですか! そもそも、聖剣を使って攻撃しようとしたのはどこのどなたですか!


「そうだったんですか。お兄さんは完膚なきまでにそこの豚にやられてしまったのですか」

「てめぇ、一生許さないからな!」

「いや、会いたくなかったので、許されなくて構いません」


 だから、その中指立てていても、スルーします。興味ないんで。


「さて、そろそろ帰ってほしいのだけど、7番」


 いよいよ、息子を番号呼びし始めた! いくら、顔がそっくりでも番号呼びはかわいそうですよ! まるで、どこかの哀れなオークたちに見えてきて同情しちゃいますよ!


「母上。僕にはジョナサンという立派な名前がありますよ」


 なんか3っぽい名前なんですけど! どうして、7番なんですか!


「そんなのどうでもいいわ。それより、その彫像は置いておくのよ。あとで、私がゆっくり見てあげるから」

「いや、レイラが要らないのなら、持って帰るよ。だって、とっても美しいからね」

「おい! 俺にも見せろ!」

「俺も見たい!」

「見せやがれ!」


 猿たちが寄ってたかって言い争う様がそこにはありました。そもそも、この人たちと同じ扱いをするのは猿に失礼でした。


「しかし、その前にやらなければならないことがある」

「いったい何をするんだ?」

「それはレイラを誑かすお前もぶちのめすことだ!」

「そうだ! そうしよう!」

「6人で寄ってたかって襲いかかるなんて酷いじゃないですか!」


 それに、聖剣を持って斬りかかるなんてずるいですよ! 僕、棍棒持ってないのに!


「そんなこと知ったことではない! お前を殺せばレイラを惑わすものはいなくなる!」


 狂っている! もう嫌だ! さっさと吹き飛ばしたい! あれ? どうしてここにちょうどいい観望があるんだ?


「もういいわ。猿にも帰ってほしかったしやっておしまい!」

「オーク殿。勝ってくれ」


 二人してお兄さんを追い出したがるとはひどいと思うのですが、僕の余命7日の命、あと4日ほどですが、これ以上短くなるなんてまずいですからね。さっさと終わらせましょう!


「なんだよ。あのオーク。レイラに上目遣いされながら頼まれるなんて羨ましい!」

「この幸運を誉高いことだと思わないなんて……。なんとけしからんやつだ!」

「もういいです。出て行ってくださいな!」


 僕が棍棒を一回振ると、すごい飛びました。なんかいいですね。すんなり飛んでくれるのは、さぁ、帰りましょうか。って、お母様、どうして僕の背中をつねるのですか?


「よく飛ばしたわね。褒めてあげる」

「これは5年の修行のたまものです」


 そもそも、変態たちを飛ばしたことを褒めて欲しくないんですけどね!


次回も明後日更新します。

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