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081.少しおかしいお茶会

 

 どうもオークです。


 今、貴婦人と一緒にお茶を飲んでいます。


 少し小皺の目立つメイドさんが慣れた手つきで淹れるお茶を楽しんでいます。


 別にメイドさんが若くないことには文句はありません。ただ、若いメイドさんが来ないのはなぜだろうと疑問に思っているだけなのです。


「あの子ったらとてもかわいいかったのよ。特に戦争に行く前まではとってもかわいかったわ。ほら、このときの純粋な目。いいでしょ?」

「いや、どの目も僕からしたら、狙われているような気がして怖いんですけど。あと、さっきから大きな肖像画を持ってこられても困るんですけど! 逆にメイドさんたちが申し訳ないんですけど!」


 若くないからなおさら不安なんですよ! そんなに大きな絵を持ってこさせるならMDR99を使えば良いじゃないですか! 僕はあの人たちには手を出しませんよ!


「あの子の見かけだけはとってもいいからみんな嬉々として持ってくるわ」

「娘に対して何を言っているんですか!」


 メイドさんもメイドさんで、どうしてその絵を持ってくるためだけに無理しようとするんでしょうかね!


「まぁ、あのどうしようもない趣味はもうやめてほしいと思っているわ。ほぼ無理だと思うけど」

「じゃあ、どうして僕をこの屋敷に置いているんですか? さっさと殺せばいいじゃないですか」

「あなたはこの家がいったい何をしてきたのか理解できているのかしら?」

「まぁ、それなりに」


 で、その話が僕を屋敷に置いておくことに何の関係があるんでしょうかね?


「この国の守護神。この家に生まれる騎士たちはそう呼ばれてきたわ。魔物からしたら、死神かなんかにしか見えなかったのでしょうけど」

「素晴らしいたとえですね」

「魔物には褒められたくないわ」

「それはひどいじゃないですか! 僕は人間ですよ!」

「つまらない冗談は言わないで欲しいのだけど」

「チクショー!」

「さて、あなたとあの子の話を詳しく聞かせてくれないかしら?」 

「どうしてそんなこと聞くんですか?」

「とっても気になっているのよ。ほら、あの子が一年以上も同じオークに執着しているとは意外だったから」

「いや、ほかのオークに目移り「私の娘が尻軽とでも言いたいのかしら?」すみません。あなたのお嬢さんはとてつもなく素晴らしい方でございます」

「あら、よかったわ。もし、あなたが人だったらあの子の婿にしてあげても良かったわ。あの子にとってもお似合いだもの」

「もしそうだったら、あの人は僕のことなど眼中にないでしょうね」


 あと、冗談でもそんなことを言うのはやめてください。あのバカがお母様の許可が下りたと思い込んで、僕を“ドッカーン”するでしょうが!


「そういうのはなんか野暮じゃない?」

「事実ですよ」


 僕は少しぬるくなった紅茶を味わっていると、突然、扉が開かれました。


 そこには、あらまぁ、お母様のドッペルゲンガー様が居られますね。ひょっとして、夢でもみているんでしょうかね。


「どうしてお母様とオーク殿が喋っているんだ! わたしとのお茶会にはいつも興味のない顔して聞いているくせにどうして目を輝かせて聞いているんだ!」

「そんなに僕の目が輝いていますか!」


 訂正します。夢は見ていませんでした。悪夢を見ていました。そう。凶暴な女騎士に食い殺される夢です。あと、僕の目は常に輝いていませんからね!


「いいでしょ? 別にあなたの物でもないんだし。それに、あなたが心から愛しているオークから話が聞きたかったのよ」

「それならいいのだが、オーク殿」

「なんでしょうか?」

「お母さまに色目など使っていないだろうな?」

「生憎、僕は貴族の方は眼中にありません」

「なかなか堪えるものだが、まぁ、いい。あとで、みっちり教え込めばいいからな」


 だから、その表情をやめてください! そこのドッペルゲンガー様が鬼の形相になっていますから! あっ、カップを持った手がすごい震えている。なんか怖いんですけど!


「ところで、二人は何について話していたんだ?」

「あら、あなたのかわいいところを146枚の肖像「いーーやーーーーっ!」


 突然、赤面しながら、自分の絵の前に立って必死に隠そうとするんでしょうか? そもそも、絵が大きすぎて隠せてませんよ。


「どうして必死に隠そうとしているのかしら? かわいいのに」


 うわっ! 娘の心臓抉ってきた! 


「だって、こんな服、わたしの好みではない」

「似合っていたのに。ほら、今もあるわよ。一度着てみなさいな。そこのオークくんもあなたに見惚れるかもしれないわよ」

「本当か?」


 だから、潤んだ目はやめてください。あのディナー以来(そもそも、あれから会っていない)、その目を見ると恐怖を感じます。


「いえ、その服を着てもあなたに対する印象は変わりません」

「絶対に着ないからな!」

「残念ね」


 分かっていてそんなこと言ったのかよ! 人のガラスのハートを何度も金槌で打ちつけないでくださいよ!


「お方様」


 突然、部屋に若いメイドさんが入ってきてお母様に話しかけました。


「何かしら?」

「猿共が姫の帰還を聞きつけて帰ってきました」


 猿? そもそも、貴族の屋敷に猿が帰ることがあるんでしょうかね? ひょっとして、この家は猿回しで成り上がったんですか!


 あと、そこの危険生物を姫と呼ばないでください! さっきから僕に言わせようと眼差しが送られているんですよ!


「そう。猿が帰ってきたの。適当に追い払いなさい」

「さっきから気になっているのですが、その猿って何ですか?」

「わたしの兄たちだ」

「自分の息子を猿呼ばわりするのはおかしいんじゃないですか!」


 もうこの親子は嫌だ!


次回も明後日更新します。

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