079.目が覚めたら、そこは
どうも。オークです。
恐怖の晩餐会の後、急に意識が遠のいたオークです。
どうしてあのとき、倒れちゃったんでしょうか?
とりあえず、猶予期間をもらったことに安心しちゃったのでしょうか?
それとも、あの脂臭さが自分の許容量を超えたからでしょうか?
まぁ、この際、倒れたことについてはもうどうでもいいです。どうせ七日後には僕は出荷されてしまうんです。これは覆られない運命なのです。あぁ、無情。
「で、僕はなぜシロクマに膝枕されているのでしょうか?」
「グオ?」
「なんであなたが首を傾げるんですか! あと、この一段と豪華な部屋はなんですか!」
「グア、グオ、グオー!」
「何を言っているのかさっぱり分かりません。あと、いきなり人の頭をかじらないで! 痛いからやめてください!」
「グオグオ!」
「俺は悪くないって顔をするのはやめてください!」
僕がシロクマと言葉の通じない言い争いをしていると、そこに、おじいさんがやってきました。
そう。あの解体屋さんのおじいさんです。
いつの間にか、僕に家を奪われてしまった人です。そもそも、奪われた原因は僕じゃなくて彼が尊敬してやまない主人様が悪いんですけどね。
そう言えば、この人と会ったのはあのネタキャラとの遭遇が最後ですね。なんで、ここにいるんでしょうか?
「お嬢が来ることを期待しておったか。残念じゃが、しばらくの間、わしがお主の世話をすることになった」
「すみません。お嬢様でも、あなたでもなく、僕はメイドさんに世話をされたいんですけど」
やっぱり、男の人より女の人がいいよね。
あと、こんなこと言うのも良くないかもしれませんが、おじいちゃんに世話されるのはどうも気恥ずかしいんですよね。
とにかくチェンジしてほしいものです。
「たわけ! ある御方の言いつけでお主の世話は男であるわしがすることになったのじゃ!」
「どうしてそうなるんですか! あなた、絶対人の世話をするのが下手でしょ!」
「安心せい。わしは馬の世話は大の得意じゃ。だから、オークを世話することは造作もないことじゃ」
「なんで僕が馬と同じ扱いをされなくちゃいけないんですか! あと、このシロクマを離してください! 痛くてしょうがないんです!」
さっきから人の頭を本気で噛んでくるんですけど! この熊、絶対に甘噛みとか知らないでしょ! 手加減というものがまったくないんですけど!
「お主を逃さぬようにあえて、こやつにお主を見てもらっておったのじゃ! まぁ、そんなことより、ほれ!」
そんなことと流されるのも困るんですけど……。
おっと。いきなり人にものを投げないでくださいよ。てっきり毒蜘蛛かと思ったじゃないですか!
「なんですか? この包みは」
「中にはおにぎりが入っておる」
「それって、あの芋虫の集合体ですよね? 食べたくないんですけど」
「つべこべ言わず食うのじゃ!」
いつまでも食べない僕に苛立ったのか、おじいさんは芋虫の集合体を僕から取り上げると、そのまま僕の口に押し込めました。
「うげっ!」
「どうじゃ? 美味しかったか?」
「ゲホゲホゲホ! 死ぬかと思ったわ!」
「食わなきゃ死ぬぞ?」
「分かってますよ! それよりここはどこなんですか!」
「王都じゃが?」
「それは分かってるわ!」
さっきまで王妃様からの温かい死刑宣告を受けましたからね! 王都から出てるはずがないでしょうが!
「ここはアンドルセン家の屋敷じゃ。ほれ、この窓の向こうを見てみよ」
「この大きな城はなんですか?」
「王宮じゃ。王家を守るように立っているのだな」
「そうなんだ」
アンドルセンの屋敷って聞くと、なんか嫌な予感がするんですけど、しばらく女の人が来ることはないようなので(泣)、きっとあの人も来ないでしょう。って言うか、一生来るな!
「さて、お主に飯も食わせたし、しばらく大人しくしてもらうぞい」
「えーっ! なんかお話ししません? そうだ! 地下牢にいたときの面白いお話があるんですよ」
「わしは地下牢には一生入ることはない。じゃから、そんなものは聞きたくないわ! おい! シロ!」
あれ? このシロクマってネタキャラの付属品じゃありませんでしたっけ? なんでそんな単純な名前なんでしょうか?
「グオ?」
シロで反応してる! なんで? まさか、このシロクマって浮気性なんですか?
「そのオークに遊んでもらえ」
「グオ!」
「ピギャーー!」
だから、いきなり、頭にかぶりつかないで! それ、遊びじゃなくてただの狩りだから!
次回は明後日更新です。




